“らしさ”詰まった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』 MCU久々の傑作に

 ガーディアンズのメンバーも大活躍した『アベンジャーズ/エンドゲーム』がハイライトとなったMCUフェーズ3までの“インフィニティ・サーガ”から一転、ディズニープラスのオリジナルドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』から始まったフェーズ4以降の“マルチバース ・サーガ”は、ドラマシリーズの乱立や食傷気味のマルチバース展開に馴染めないファンも多く、特にフェーズ5皮切りの作品となったMCUにおける前作『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は、多くのファンの期待を裏切るような作品になっていたように思う。サノスに続くヴィランとなるカーンとマルチバース展開に軸が置かれ、“小さいストーリー”を描いた親近感のある“『アントマン』らしさ”が失われてしまっていたのである。

 それに比べ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は“『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』らしさ”を全く失っていない。ガーディアンズのメンバーそれぞれに大きな見せ場があり、本作で本格的に登場を果たす新キャラクターのアダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)や、サノスの思想を彷彿とさせるハイ・エボリューショナリーなど、全てのキャラクターがとても魅力的に描かれているのだ。物語の鍵となるロケットの過去を、現在進行形のストーリーと並行して見せていく構成もきちんと活きている。

 レディオヘッドの代表曲「クリープ」のアコースティックバージョンをはじめとする楽曲の選曲には若干顔をしかめてしまうところがあるものの、キャラクターの心情と歌詞を重ね合わせてみるとそれも納得。さすがジェームズ・ガンと言ったところである。

 “ガーディアンズ最後のお祭り騒ぎ”は、その長さを全く感じさせない、あっという間の2時間30分。これで終わってしまうのはもちろん寂しいが、そのラストは意外にも清々しく、とても晴れやかな気持ちになる終わり方だった。こんなに何度でも観たいと思えるマーベル映画は本当に久しぶりだ。映画館のスクリーンでは、まだまだ彼らに会えるのだ。

■公開情報
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
5月3日(水・祝)全国劇場公開
監督:ジェームズ・ガン
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:クリス・プラット、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、ゾーイ・サルダナ、カレン・ギラン、デイヴ・バウティスタ、ポム・クレメンティエフほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2023

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