2023.04.13 08:00

奈緒、『あなたがしてくれなくても』で世の中の夫婦に届けたい“希望”　永山瑛太との縁も

文・取材＝大和田茉椰、写真＝伊藤惇

人間関係を追求した“夫婦”という役

ーー永山瑛太さんとは3度目の共演になるそうですね。

奈緒：今回、瑛太さんと「夫婦っていう役は本当に面白いよね」という話をさせていただきました。これだけ人間同士が深く相手と向き合って、入り込んだからこそ起きる夫婦の悩みだったり、幸せな瞬間を一緒に描いていける。より人間関係を追求した関係でご一緒させていただけるのは、本当にご縁を感じます。初めてご一緒したとき、私はまだ地元の福岡にいて、瑛太さんに上京の相談をさせていただいていたんです。こうして東京で改めて出会えて、夫婦という役をできるのはすごく心強くて、幸せです。あの頃よりもっと成長した姿をあまり肩肘張らずに見せていけたらいいなと思っています。

ーー上司の新名誠役を演じる岩田剛典さんとは初共演ですね。

奈緒：岩田さんは全く壁を作らない方で、初対面でもお話ししやすくて、岩田さんから放たれれる優しい空気が人気者の新名さんとすごく通じる部分を感じました。私の誕生日が2月だったんですけど、初めてお会いしたときに、「お酒お好きなんですよね、誕生日なんですよね」ってお酒をわざわざ用意してくださっていて。なんていい人なんだと（笑）。まだ大事にとっているので、できれば初回放送日に開けようかなと思ってます。

ーー素敵なエピソードですね。田中みな実さんはどうでしょう？

奈緒：田中さんはすごく1つのことを突き詰めていらっしゃる、カッコいい方だなと思っていて。原作を読んでいて楓さんの役が好きだったので、田中さんご自身の本当に努力していらっしゃる姿とかがリンクするなと思ったので、とても楽しみにしています。ご一緒できないシーンもあると思うんですけど、そこは一視聴者として観るのが楽しみです。

出会ったことがなかった“嫉妬”という気持ち

ーー物語では、主人公のみちが秘めていた悩みを打ち明けたことで、大きな変化が訪れていきます。奈緒さんご自身がこれまで悩みを話して変わったことがあれば教えてください。

奈緒：舞台『DOORS』で伊藤万理華ちゃんと毎日顔を合わせてお芝居をさせていただく中で、あまりに素敵すぎて自分の中に今まで感じたことのない、ちょっと悲しい気持ちが湧いてきたことがありました。「これなんだろう？」と考えたときに、途中でこれはきっと嫉妬なんだと気づいて、万理華ちゃんにそのとき、すぐに伝えて。“今まで誰かに対して嫉妬を感じたことがなかったけど、初めてこんなに世の中に素敵な子がいるんだと思って、多分、私はすごいヤキモチを焼いた”っていう話をして。そのとき、すごくすっきりしたし、万理華ちゃんも喜んでくれて。私の中でまだ出会ったことがなかった“嫉妬”という気持ちが、必ずしもマイナスな気持ちじゃないんだと気づけたというか。自分の中ですごく前向きにヤキモチや嫉妬を受け入れるきっかけになったので、これからも新しい気持ちが生まれたら、合っているかどうかはわからないけれど、誰かに打ち明けようっていうのはすごく思いました。

ーーこの物語の題材となっている夫婦間でのセックスレスについて、奈緒さんご自身はどう考えていますか？

奈緒：みちが悲しくなる瞬間は、私自身もすごく共感することが多くて。もちろんセックスレスを描いてるんですけど、その裏側にはどんな夫婦同士の悩みがあって、幸せな時間があったんだろうというところを描ける作品だと思っています。みちが陽ちゃんから触れてもらえない、求められないから寂しくなる気持ちって、紐解いていくと陽ちゃんのことを愛しているからで。自分がこんなに悩んでいることを打ち明けたときに、小さい悩みのように扱われてしまうとすごく傷つきますし。だからこそ本当に些細なことで、陽ちゃんからちょっと優しくされたこととか、大切にされた瞬間を必死にみちが掬い取ろうとして、その楽しい過去の思い出に支えられながら今を頑張ろうとしてる。どうしても過去の幸せな記憶に支えられる瞬間は絶対にあると思うので、みちのそういう人間らしい部分にはすごく共感します。

ーー自分だったらどうしますか？

奈緒：新名家と吉野家のように、夫婦によってこんなに同じ悩みを抱えていても関係性が違うので、きっと自分と目の前の相手との関係で乗り越えていかないといけない壁があると思うんです。私は悩むのがすごく苦手なので、とことん相手の方と向き合って話して結論を出すと思います。みちのように自分が耐えることでちょっとでも関係を良くしようとしたり、次に向かおうとする姿は強いなと思うんですけど。私はもっと早く結論を出そうとしてしまうかもしれないです。

ーー陽一さんみたいな態度を取られてしまうと……？

奈緒：もしかしたら、一度は離れちゃうかもしれないです。お互いに自分自身と向き合った方がいいのかなと思ってしまうので。一度、独りで考えると思います。ああいうときに、よくドラマにある「ちょっと実家に帰りますので……」みたいになるのかなと思いました。

ーー奈緒さんにとって、理想の夫婦像はありますか？

奈緒：相手がお菓子を食べているときに、無言で手を出して、何も言わずにそのお菓子を分けてもらえるような夫婦というか（笑）。公園で散歩するのが好きなんですけど、そういうときに、会話が少ないご夫婦とか、花を見ていて特に何も喋っていないご夫婦の方をたまに目にすることがあって。年を重ねた先に一緒にいられるのが素敵だなと思います。将来そういうふうになれるパートナーが見つかったらいいなと思います。

ーー感性が合うみたいなことなんですかね。

奈緒：阿吽の呼吸と言うんですかね。趣味が違ったり、100％価値観が同じ人はいないんじゃないかなと思っていて。その人と価値観が80％合ったとして、あとの20％は長い時間をかけて努力して補って、その先にお互いのことがわかるという、そういう世界を夢見ています。何十年かけても、お互いがお互いのことを1番よく知っていると言えるような夫婦っていいなと思いますね。

※記事初出時、一部の表現に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■放送情報
木曜劇場『あなたがしてくれなくても』
フジテレビ系にて、4月13日（木）スタート毎週木曜22:00～22:54放送
※初回15分拡大
出演：奈緒、岩田剛典、田中みな実、永山瑛太、さとうほなみ、武田玲奈、宇野祥平、MEGUMI、大塚寧々ほか
原作：ハルノ晴『あなたがしてくれなくても』（双葉社）
脚本：市川貴幸、おかざきさとこ、黒田狭
演出：西谷弘
プロデュース：三竿玲子
主題歌：稲葉浩志「Stray Hearts」（VERMILLION RECORDS）
挿入歌：稲葉浩志「ダンスはうまく踊れない」（VERMILLION RECORDS）
音楽：菅野祐悟
©︎フジテレビ
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