『大病院占拠』比嘉愛未演じる裕子に残った黒幕の可能性 櫻井翔のラスト「嘘だろ」を考察

 櫻井翔主演の日本テレビ系土曜ドラマ『大病院占拠』が、いよいよ最終回を迎える。最終回の予告には「これまで見たものがひっくり返る」という一文があり、最後まで先が読めない。残された謎などを考察し、最終回の結末を予想する。

第9話までに分かったこと

 結末を予想する前に、まず現状までで分かっていることを整理する。鬼が病院内で探していたのは、「P2計画」を執り行う病院の地下4階にある秘密の研究施設。P2計画とは、神奈川県知事・長門(筒井真理子)指揮のもと遂行していた、秘密裏に感染症の研究をする計画だ。知事は3年前に新横浜港に停泊した「プレミアム・パナケイア号」に乗船した際に、新型ステルウイルスの集団感染に遭遇。これを機に感染症対策に強い関心を示すようになり、ワクチン開発のための研究施設が必要だと考えたが、研究所の設立は地域住民に強い反対にあった。

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 そのため、秘密裏で研究の計画を実行し、この計画を「プレミアムパナケイア計画(通称P2計画)」と名付けた。1年前に最新鋭の警備、防災システムを持った巨大要塞である界星堂病院を設立し、地下4階に秘密研究所を設置。この計画に関わっていたのは、播磨院長(津田寛治)、大隅事務長(瓜生和成)、感染症専門医の甲斐(西原亜希)、神奈川県警本部長・備前(渡部篤郎)だ。

 そうしたなかで、海外から各種のウイルスを輸入し研究していた神奈川県立医科大学感染症研究センターの研究員・加賀大輝(橋本悟志)が、レベル4に相当するハイドラウイルスに感染した。そして日向聡介(森島律斗)と山城琴音(上西星来)がホテルオシマで加賀に接触し、ウイルス感染死したため、知事の大学時代の同期である備前本部長に助けを求め、交通事故に偽装し、死因を隠蔽した。加賀は、茶鬼・加賀雄吾(大水洋介)と橙鬼・加賀流星(森田甘路)の末弟。日向聡介は、黄鬼・摂津公明(柏原収史)と白鬼・日向ゆり子(真飛聖)の一人息子だ。

 山城琴音は、神奈川県警捜査一課特殊班(SIS)の捜査員として武蔵(櫻井翔)をサポートしてきたが、実は鬼に情報を流していた紫鬼・相模俊介(白洲迅)の婚約者。山城も相模に会いにホテルに来ていて、その時には妊娠もしていた。愛する彼女と胎児を亡くしたことで鬼になった相模。そして、山城は行方不明扱いとされていたが、その遺体はサンプルとして研究室に冷凍保存されている。

 鬼たちがわざわざ病院を占拠したのは、この秘密を世間に晒すことと、山城の遺体を奪還するためだろう。

繋がった動画の文字から分かる、立てこもり事件の真相

 毎週更新される公式サイトの謎動画の文字がついに繋がり、「The first person who got shot by Musashi was the blue ogre's foster(最初に武蔵が撃った人物は青鬼の里親)」となり、武蔵に撃たれたガソリンスタンド事件の犯人・尾張耕太郎(青木一平)が青鬼・耕一(菊池風磨)の里親と確定した。これで武蔵を恨む理由に繋がったが、もう一つ重要なのは、山城も里子に出されたという経歴。尾張耕太郎が里親と考えれば、青鬼と一緒に暮らしていた可能性が高く、遺体を見つけ号泣した黒鬼(ベッキー)、赤鬼(忍成修吾)も里子の家族だったと推測できる。

 そして、立てこもり事件の時に、人質(院長の妻説が有力)に「返してくれよ!」「本当のことを言えよ! 言えないのか?」「何を隠してるんだ!」と迫っていたのは、死因を隠蔽され、行方不明扱いされたことへの真実を知りたいがために行った立てこもりであり、鬼たちがやっていることとほぼ一緒とも言える。度々映った青鬼の手帳はおそらく尾張のもので、そこから今回の研究所の秘密を知ることとなったのだろう。

青鬼の“真の目的”とは

 しかし、青鬼の本当の真の目的は、国民に正義を問うことだ。前回、長門知事にハイドラウイルスを打ち(本当に打ったかは分からない)解放。しかしこのままだと、何十万人もの人々が感染する状況だ。そして青鬼は配信で自身にもハイドラウイルスを打ち、マスクを外し、「目の前であなたの愛する人が死にかけています。ですが、あなたの愛する人が死ねば、日本国民1億2千万人が助かります。あなたならどちらを選びますか? 愛する人の命か、1億2千万人の命か」と、抗ウイルスを賭けたアンケートを実施。愛する人が多ければ青鬼の勝ち、1億2千万人が多ければ知事の勝ちとなる。

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 これまで鬼たちの「愛する者」が、国民の命を優先したことで犠牲になったことへの問いかけなのは分かる。ただ、急に青鬼が顔出しして「愛する者」の選択肢となることは、視聴者にとって「なんで?」となるだろうし、どれだけナルシストなんだと思われても仕方ない。これまでの配信だと、好感度が上がっているのは鬼ではなく武蔵だろう。それに知事がウイルスをバラ撒く状況なら、現実世界ならさすがに国民は「1億2千万人」に投票するだろう。ドラマの世界では投票が割れるのだろうか?

 ただ、アンケートの答えが出たところで、その先の展望を考えているのか。鬼たちはなるべく犠牲を出したくないという方針でやってきたことからも、このやり方は本末転倒だと思う。そうなると、ウイルスを打ったことはフェイクの可能性も高いし、ハイドラに関してはワクチンが効かない強力なものなので、重要なことは“国民に考えさせること”なのだろう。

和泉の怪しさの裏には真実が隠されている?

 ここで改めて気になるのが「愛する人」という言い方。やはり青鬼が自分を「愛する人」とするのはどうも不自然で、これは特定の人物に訴えかけているような気もする。そこで、一番動揺をしていたのが、神奈川県警刑事部捜査一課特殊班(SIS)管理官・和泉(ソニン)だ。

 怪しい動きとして、情報分析官の駿河(宮本茉由)と志摩(ぐんぴぃ)が地下4階の情報を調べようとしたところ、テロリストの要求に応じるわけにいかないと作業を止める。また、和泉を相模が取り調べている間に、武蔵が鬼の要求通りにP2計画の秘密を明かすことに、和泉は「要求には応じないと言ったはずです!」と怒鳴り、武蔵の告発が始まると狼狽え、指揮に戻ろうとするも膝から崩れるほどの精神的ダメージを受けている。和泉にとって掘り起こされてはいけない事案だからだろう。

 これは第8話でP2計画が院長から暴露された後、丹波と備前の会話で「本当にこのまま和泉に指揮を任せるつもりですか? 和泉は本部長が思うほど強い人間ではありません。和泉はこれ以上の重圧に耐えられるとは到底思えません。3年前のあの時だって……」と電話をしていたことからも、パナケイア号集団感染の時に指揮を任されパニックになった可能性がある。また、看護師の潜入捜査官として召喚した淡路(二宮郁)から「ご主人にはお世話になりました、素晴らしい方でした」と言われていたことから、武蔵のように和泉の指揮のもと夫が勇気ある行動を起こし、最前線で活動したために感染した過去があることが推測できる。

 そして現在はP2計画を隠したまま指揮を取る重圧。そこで青鬼の問う選択につながる。1億2千万人を救うために、夫は死を選ばせられた。もしかするとその選択は、指揮をしていた和泉が苦渋の決断を下したのかもしれない。いずれにせよ、知事の思いに賛同しているのは表情から伝わるが、夫も冷凍保存され後悔をしている可能性も。だから地下4階の秘密を公にしたくなかった。つまり、青鬼はその選択を和泉に問いかけているのかもしれない。決して黒幕ではないが、改心して全ての真実を暴露してもおかしくない。

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