『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ネタバレ解説 ポストクレジットシーンの意味は?
原作と違うモードック
さて本作には、もう1人コミックで有名なヴィランが出てきます。モードックです。今回は『アントマン』1作目のヴィラン、ダレンが変異した姿と説明されています。ところが、コミックの設定と大幅に変えてあるのです。
ここがひょっとするとファンの間で賛否分かれる部分かと思うのですが、原作ではキャプテン・アメリカの敵であり、A.I.M.(Advanced Idea Mechanics)という悪の組織にいた男が実験台にさせられ、脳だけが肥大化した異形の怪人になるというものです。人為的に強化されたという意味でキャプテン・アメリカと同じですが、キャプテン・アメリカは美しく、自分はグロテスクな姿になってしまったことで、キャプテンをすごく憎んでいるという設定もあります。モードックとはMental Organism Designed Only for Killingの略で、日本で初めて紹介された時は“殺人脳組織体”と訳されていました。
ただMCUにおいては、すでにA.I.M.という組織は設定を変え『アイアンマン3』に登場しているので、A.I.M.が生んだモードックという設定は使えない。それならといっそモードックの名前と外見だけ借りてMCU版を登場させたのでしょう。
ちなみに『ロキ』シーズン1では、今回、モードックになってしまったダレンのイエロージャケットのヘルメットが“虚無”と呼ばれる時間の果てみたいな空間に転がっているシーンがあります。ダレンは限りなく小さくなり“虚無”を経て量子世界に行ってしまったということでしょうか?
キャラについて言えば、「体に穴が空いた!」と喜んでいるヴェブ。演じているのはデヴィッド・ダストマルチャンですが、彼は、『アントマン』前2作でスコットの泥棒仲間の1人であるカートを演じています。同じ俳優が同一シリーズの中で別キャラ演じるのは、珍しいことです。
というわけで、カーンというキャラは複雑ですが、『アベンジャーズ』においてもおまけシーンでいきなりサノスが出てきた時も、マーベルの知識がない人にとっては「こいつ、誰?」状態だったわけだし、徐々にサノスの目的やインフィニティ・ストーンのことがわかってきたきたわけだから、この“カーンたち”の狙いや彼らの脅威もこれからのMCU作品の中で見えてくるのでしょう。
さて、最後に超プチなトリビアを。今回の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』はMCU映画31作目です。そして本編の中で31アイスクリームがまたフィーチャーされてます。この偶然、面白いですね。
■公開情報
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
公開中
監督:ペイトン・リード
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、ジョナサン・メジャース、キャスリン・ニュートン、ビル・マーレイ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2023