北香那、『どうする家康』お葉役に込めた愛の在り方 「幸せであればいいんじゃないか」

お葉が美代と一緒になるラストは……

――そこから10カ月が経ち、家康との間に「おふう」が産まれると、お葉の表情にも笑みが見られるようになっていきます。

北:私も迷ったんですよね。「赤ちゃんが産まれた時って笑っていいんですかね?」って監督に聞いたら、「子供を産んだことで役目を果たした喜びもある」って言っていて。笑みがこぼれるんだけど、「次は男の子だよ」って言われてしまう複雑さから表情に緩急をつけています。

――お葉が本心を明かす場面では、家康に対して「吐きそうに」という辛辣な言葉も飛び出します。

北:「吐きそうに」と言うたびに松本さんが悲しそうな顔をするので、どうしても面白くて笑ってしまうことがリハでは何度もありました(笑)。立場的には側室として敬意を払って話をしているんですけど、でもちょっとずれていて笑えるみたいなところを意識してお芝居していました。

――家康から好きな相手を聞かれて、一瞬お葉の目が泳ぐ、北さんの演技が印象的でした。あれは、あの時代に美代(中村守里)を好きになった複雑な心情を表しているのでしょうか?

北:好きな人ができた、そしてそれが女の子であるということと、美代に被害がいくのが嫌という気持ちもある。そのことを含めた視線の外しだったのかなと思います。

――お葉こと西郡局についての史料があまり残されていないからこそ描けた設定であり、キャラクター像でもあります。

北:大河ドラマでLGBTQを表現するのは新鮮ですし、私の周りにLGBTQの友達がたくさんいるので嬉しかったですね。また新しい気持ちで大河ドラマを観られるんじゃないかなと思います。

――時折映し出される瀬名のどこか寂しそうな表情もこの第10回では印象的なポイントです。

北:お葉としては、家康さんはセクシュアリティ的にも好きな対象と違うので、つらい表情を浮かべる瀬名さんに本当のことを話したい気持ちがあったんだと思います。視聴者としては、瀬名さんの切なそうな顔に胸が苦しくなりながら観ていたんですけど、最後は瀬名さんの気持ちにも余裕が見えてよかったと思いました。

――「あー、残念!」という嬉々としたセリフもありましたからね。北さんは、お葉が美代と一緒になるラストをどのように捉えていますか?

北:お葉ちゃんが自分を見つけられたことに安心感はありますし、お葉ちゃんが幸せであればいいんじゃないかという気持ちで演じてはいます。

――お葉は、このまま家康の側室として生きる選択もできたわけですよね。

北:お葉ちゃんは再登場しますので、どうなったかは楽しみにしてほしいと思います。撮影はまだなのですが、台本はいただいているので。お葉ちゃんの力はほんの少し抜けたのかなというのは感じますね。またちょっと面白い家康さんとの関係が見られるかなと思っています。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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