草彅剛が岸部一徳と対決 『罠の戦争』が問いかける権力と救いというテーマ

 手にした権力を何に使うのか。泰生の事件の犯人を知るため議員になった鷲津は、権力の一端を手にしている。鷲津がそれを自覚したのは工務店社長の猪原(大谷幸広)との出会いがきっかけだった。融資先を探して陳情に訪れた猪原に、鷲津は名刺を渡して知り合いの支店長を紹介する。後日、猪原は融資を受けることができたが、国会議員の名刺に象徴される権力のパワーを端的に物語る場面であり、監視カメラの映像を閲覧するエピソードからもそれは伝わってきた。一方で鷲津は鶴巻から「権力というものをわかっていない」と苦言を呈されている。誰かを救うことができる反面、簡単に命をも奪ってしまえるのが権力であり、実際、鷲津は眞人の兄・浩輝(森田甘路)の陳情を犬飼(本田博太郎)に報告せず、結果的に見殺しにしてしまった過去があった。

 自らの目的を達するため相手をだまし討ちにする罠が、政治つまり権力を持った者の世界で横行するのはある意味当然かもしれない。それを無条件に肯定すれば、熾烈な権力闘争がどこまでも続くことになる。これに対して『罠の戦争』はもう一方の軸を据えた。鷲津の妻・可南子(井川遥)は力がほしいとつぶやく。可南子の言う力は上で述べた権力と似て非なるものだ。「他人を引きずり落とすためじゃなくて、誰かをすくい上げる力」と可南子は言うが、本来、権力とはそういうものだったはず。鷲津もそもそもは歩道橋から落ちた泰生をもう一度呼び覚ますことが願いであり、叶わなかったから復讐に転じたのだ。終わりのない争いに終止符を打つために何が必要なのか。ドラマが中盤に差し掛かったいま、大きなテーマが姿を現しつつある。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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