北川景子の存在は『どうする家康』にどう影響する? 俳優デビュー20周年で次のフェーズへ

 大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の第4話「清須でどうする!」で初登場し、またたく間に中心人物の一人となった北川景子。彼女は男たちばかりの物語の中、新しい風を吹かせたところなのだ。俳優デビュー20周年となる北川の存在は、本作にどう影響してくるのだろうか。

 本作で北川が演じるのは、織田信長(岡田准一)の妹・お市だ。幼い頃より兄の背中を追いかけてきた彼女は、男どもに引けを取らぬほど武芸に通じている。主人公・元康(松本潤)が初恋の相手であり、いまもその気持ちは変わらないようだ。本作の公式ガイド『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 前編』にて北川は、史実上のお市に対して「家や時代に翻弄された女性」という印象を抱いたことを明かしている。けれどもこれはフィクションである時代劇。歴史上の人物は脚色によって物語のキャラクターとなる。戦国時代を描いた作品が100あれば、お市像だって100通りあるのだ。『どうする家康』のお市に関して北川は、「運命に流されるだけでなく、数奇な運命の中でも気高く生きる人」と本作のお市の印象を述べている。

 北川はたった1話だけでいくつもの顔を演じ、非常に大きな役割を果たした。彼女が演じたものの一つが、あの信長の妹である者の顔。野蛮な信長とその家臣たちに囲まれて育った彼女は武芸に通じているため、北川にもそれ相応のアクションが求められたわけだが、これは泰然かつ優雅にこなしていただろう。真の意味で信長の妹であることを表明するのは、この外面の部分ではない。織田家の血が流れ、兄の精神性から強く影響を受けているはずの内面の部分だ。北川の自信に満ちた凛々しい所作や発するセリフの語調は、まさに彼女の思う“気高く生きる”お市像を立ち上げることに成功している。

 北川が演じたお市のもう一つの顔は、もちろん元康に対するもの。つまり、幼い頃から変わらない恋心である。兄・信長の命により元康との結婚を言い渡された彼女の胸は、いくら強制的なものだとはいえ高鳴っているようだった。何せ初恋相手なのだ。元康との交流が深まっていくにつれてお市の凛々しさが解けていくさまは、彼女の繊細な内面の変化を物語っていただろう。信長に対する顔と、元康に対する顔ーー北川はこの二つの顔を豊かなグラデーションをもって演じてみせたのだ。

 さて、本作での北川は、たった1話だけで“非常に大きな役割を果たした”とも記した。そう、お市の助言によって元康は、今川家に囚われの身となっている妻子を奪還することを決意したのだ。ここまでにすでに何度か“リーダーとしての決断”をしている元康だが、これはその最たるものだろう。歴史をギュッと凝縮しているため怒涛の展開の連続になっているが、これは本作の一つの大きな転換点になるはず。そんな転換点が生まれるきっかけを作ったのが、“北川景子=お市”というわけである。

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