映画『グッバイ・クルエル・ワールド』でも、彼らは一枚岩ではない同じチームの一員となる。全員が互いに素性を明かさない一夜限りの強盗組織のメンバーとなるも、強盗現場に向かう薄暗い車内で交わされるぎこちない会話から、それぞれの背景に抱えているものやキャラクターの特性が透けて見えるのがさすがだった。


　思えば、西島も斎藤も硬軟両方のキャラクターを自然に演じ分けられる俳優だ。それはつまり、どれだけ隙を見せるかの調整が瞬時にできるとも言い換えられるだろう。2人が演じた特撮作品の主人公もわかりやすい“勧善懲悪”ではなく、“光と闇”を内包し見せてくれた。正義と悪や白黒が入り乱れ、その狭間で揺らぐようなグラデーションが描かれる作品に西島も斎藤もまさにハマる。

　『警視庁アウトサイダー』でも、このグラデーションがたっぷり投影されている。ときには組織のルールを破り、グレーな手段に出る場面もあるものの、元マル暴ならではの視点で事件解決のきっかけを掴んでいく架川は、わかりやすい正義のヒーローとは言えない。一方、斎藤扮する小山内もあまりに隙がなくそつのない言動に、“万人受けするマイルドな若手政治家”の裏側にある、血の通っていない冷静でドライな部分を滲ませる。彼らが直接対峙する際、一体どんなカードを切り合うのか、今から期待しかない。

■放送情報
『警視庁アウトサイダー』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00～21:54放送
出演：西島秀俊、濱田岳、上白石萌歌、斎藤工、片岡愛之助ほか
原作：加藤実秋
脚本：髙橋泉
音楽：末廣健一郎
演出：木村ひさしほか
ゼネラルプロデューサー：服部宣之
プロデューサー：藤崎絵三、長谷川晴彦、山形亮介
制作協力：KADOKAWA
制作：テレビ朝日
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