『星降る夜に』北村匠海と吉高由里子の距離が急接近 登場人物たちの出会いが描かれる

 あの時あの人に出会えたから、今の自分がいる――。人生にはそんな“運命の出会い”と呼びたくなる縁がある。絶えず寄せては返す波のように、たくさんの出会いと別れの中で。人生を変えるような縁を、私たちはいくつ手繰り寄せることができるのだろうか。

 ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)第3話は、鈴(吉高由里子)と深夜(ディーン・フジオカ)、そして千明(水野美紀)と一星(北村匠海)がそれぞれ出会った日のこと、そして今の彼らに繋がる想いが描かれた。

 鈴と深夜が出会ったのは10年前。深夜が、妻とそのお腹の子を亡くしたときのことだった。なんの前触れもなく、突然起こった常位胎盤早期剥離。あまりの出来事に涙すら出なかった深夜。その彼の代わりにボロボロと涙を流していたのが、当時研修医としてその場に立ち会っていた鈴だった。

 「いい先生だなと思いました」鈴と直接話をしたわけではないけれど、その涙に救われ、そして自分も鈴のような産婦人科医になろうと思ったのだという。30代後半からの一念発起。安定した都庁勤務を手放し、新人医師として現場に就いたのが45歳だというのだから。その道は、想像以上に険しかったに違いない。

 だが、そんな苦労をしてでも目の前の何かに打ち込まなければ、生きていられなかったのではないだろうか。思わず鈴が「ミニマリスト?」と聞いてしまうほど、ガランとした部屋が、そのまま空っぽになってしまった深夜の心の内を表しているようで胸が痛くなった。あの日の妻とお腹の子を救いたい。現実にはもう叶わないことだけれど、そう思わなければ生きる意味を見い出せなかったのかもしれない。

 一方、千明と一星の出会いもまた“死”がきっかけだ。高校生のころに両親を事故で亡くした一星。その遺品整理を担当したのが千明だった。まだ心の整理が着かずに動揺する一星に、「遺品整理は亡くなられた方のためにするものではなく、これから生きていく方のためにするものだと思っています」と寄り添った千明の言葉が印象的だった。

 人は死んだらどうなるのか。その答えは死んでみなければわからない。少なくとも生きている今の段階でわかるのは、人の死で最も傷ついているのは、その亡くなった人を愛していた人だ。その傷ついた人にどう寄り添えるのか。千明の遺品整理は、これから生きていく一星に対して、両親がどれだけ一星を大事に思ってきたのかを伝えていく。

 お食い初めの器は、一星が一生食べていくのに困らないようにと両親が願った証。母親と幼い一星が写ったたくさんの写真たちは、それだけ父親が愛しく眺めた数。父親の遺品であるカメラを手渡された一星が、そのとき何を思ったのかはわからない。でも今、彼がカメラを趣味にして、たくさんの愛しい風景や鈴を撮っているのは、このとき温かな気持ちに包まれたからのように思うのだ。

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