スランプの映画監督が失われたフィルムを探す旅へ 『オマージュ』予告編&場面写真公開

 3月10日に公開される韓国映画『オマージュ』の予告編と場面写真が公開された。

 本作は、失われたフィルムをめぐって、夢と現実、現在と過去、映画と人生が交錯する人間ドラマ。ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督のジワンが引き受けたのは、60年代に活動した韓国の女性監督ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の欠落した音声を吹き込むという仕事。作業を進めながらフィルムの一部が失われていることに気づいたジワンは、ホン監督の家族や関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく。

 主人公ジワンを演じるのは、『パラサイト 半地下の家族』などのイ・ジョンウン。単独初主演にしてアジア太平洋映画賞最優秀演技賞を受賞した。ジワンの夫を演じるのは、『あなたの顔の前に』をはじめホン・サンス監督作品の常連としても知られるクォン・ヘヒョ。ふたりの息子役でドラマ『愛の不時着』のタン・ジュンサンが出演した。監督を務めたのは、『マドンナ』『ガラスの庭園』のシン・スウォン。

『オマージュ』予告編

 公開された予告編は、キャリアも母としても中途半端で、息子からも「母さんの映画つまんない」と酷評されるジワンが、韓国初の女性判事が毒殺された実話を映画化した『女判事』の修復作業にかかわることになる場面から始まる。検閲でカットされたシーンがあることに気づき、失われたフィルムを探す旅に出たジワンは、かつて映画の編集に携わっていたという女性から「編集担当の私でさえ“縁起が悪い”と塩をまかれるような扱いだった」と、映画業界で女性が活躍することが今よりずっと困難だった時代の話を聞き出す。ジワンがすでに廃館となった古い映画館や、さまざまな映画人に出会う中で、彼女自身も変化していく様子が映し出されている。映像の最後には、8mmフィルム機を回す女性の映像とともに、「映画を愛するすべての人へ。かつて輝きながら消えていった者たちへ」という言葉が綴られている。

 あわせて公開された場面写真には、8mmフィルムを発見したジワンと息子ボラム(タン・ジュンサン)の姿がなどが切り取られている。

■公開情報
『オマージュ』
3月10日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督:シン・スウォン
出演:イ・ジョンウン、クォン・ヘヒョ、タン・ジュンサン
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
2021年/韓国映画/韓国語/108分/5.1ch/シネスコ/英題:Hommage/字幕翻訳:江波智子
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公式サイト:hommage-movie.com

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