『罠の戦争』壮絶な騙し合いは情報戦の側面も 草彅剛演じる亨が歩む修羅の道

 相手を罠にはめる頭脳戦の側面とともに、本作が描くのは弱い立場の人間の連帯だ。兄の無念を晴らそうとする眞人や梨恵にとっては亨の存在が大きく、目的意識が定まったことで力を発揮した。その亨は息子の泰生に代わって黒幕を突き止めようとしており、「弱い者のを痛み、せめて想像くらいしてみろよ」と振り絞る声には真情がこもっていた。壮絶な罠の掛け合いにあっても何かしら信じられる軸は必要で、それがなければ眞人や梨恵も他人である亨に協力しようとは思わなかっただろう。

 罠にはめることは、はめられる側からすれば信じていた相手に裏切られることと同じだ。たとえ向こうが先に裏切っていたとしても、そのことはだまし討ちを容認する理由にならない。他人を罠にはめる人間はすでに一線を超えており、知らないうちに自身の人格を変容させることになる。今はまだ悲しみと怒りに突き動かされている亨は、復讐のステージが上がるにつれてどのように変わっていくのか。演じる草彅の変化にも注目したい。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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