『ワタサバ』丸山礼&『デブラブ』かなで “漫画原作×芸人主演ドラマ”が革命を起こす
もちろん、それで作品が成立するほど甘い世界ではない。『ワタシってサバサバしてるから』の奈美は、あきれるほどにポジティブで、気持ちがいいほど突き抜けた超がつくほどの勘違いキャラ。「こんな人いる!」という共感性はもちろん、漫画の世界観をうまくドラマに落とし込んだ演技ができる丸山でなければ、実現は難しかったように思う。彼女はひとりコントで日常にいそうな人物をよく演じており、その実力はSNSやYouTubeで折り紙付き。「あるある」の女王が、視聴者の期待に見事応えたわけだ。
一方で『デブとラブと過ちと!』の夢子は、自身の容姿に悩んで塞ぎ込んでいたが、記憶喪失になったことをきっかけに、超・ポジティブガールに大変身するといった役どころ。現実世界で、24時間ポジティブを継続するのは難しい。どうしたって落ち込むことがある。だが、いつだって前向きな夢子を見ていると、元気をもらえるし「明日も頑張ろう」と思える……。ドラマの中の夢子は、原作同様に観る人をもポジティブに変えてしまう役目も果たしていた。かなでのひたむきな演技が、視聴者の心を揺さぶったのだ。
丸山やかなでは、スタッフや共演者の力を借りつつも、人を笑顔にする仕事をしている“芸人だからこそできる演技”を武器に、100点満点だった作品を120点に限界突破させてしまった。これは、2人に限ったことではなく、演技ができる芸人すべてに共通する能力だと思う。
漫画の配信サービスが当たり前になったことで、ジャンルも多岐にわたり、ヒット作もさらに増えてきた昨今。それに伴って「漫画原作のドラマ」もさらに急増している。もちろん内容にはよるが、今後「芸人が主演を務める漫画原作ドラマ」を目にする機会も増えてくることだろう。芸人の演技の可能性は無限大。さらに需要は高まりそうだ。
■放送情報
夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから』
NHK総合にて、毎週月曜~木曜22:45~放送(各話15分)【全20回】
出演:丸山礼、トリンドル玲奈、犬飼貴丈、栗原類、鞘師里保、本多力、若月佑美、小林涼子、佐々木史帆、和田正人、マギー、山田真歩、栗山千明、笹野高史、“お魚さん”(ナビゲーター)、アンミカ
原作:とらふぐ、江口心『ワタシってサバサバしてるから』
脚本:福田晶平
音楽:信澤宣明
制作統括:中山ケイ子(FCC)、訓覇圭(NHK)
プロデューサー:大瀬花恵(FCC)
演出:伊藤征章(FCC)
©NHK
公式サイト:https://nhk.jp/watasaba