『舞いあがれ!』ラスト3分の急展開に呆然 高橋克典演じる浩太の言葉を振り返る

 人の死とは時にあっけないものだ。泣き崩れるめぐみ(永作博美)に、母を支える舞(福原遥)。ラスト3分の急転直下の展開に、“朝ドラ受け“の『あさイチ』(NHK総合)キャスター陣も事態を飲み込めず言葉が出ないでいる。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第14週「父の背中」にて、舞の父・浩太(高橋克典)が亡くなった。胃潰瘍を患っていた浩太は、いままでも時折お腹をさすっていたが、それがおそらく心筋梗塞となるサインだったのだろう。帰りが遅い浩太を心配し工場に見に行っためぐみと舞。そこにはうつぶせで倒れた浩太の姿があった。主治医の「お助けできませんでした」という言葉に、呆気に取られる2人。「うそや! なあ」と舞に、自分に言い聞かせるめぐみだったが、残酷にも理解が追いつき、とめどなく涙が溢れ出る。

 前週での予告にて不穏な空気が立ち込めていたことからも、どこか覚悟はしていたが、今日ではないだろうと、そんなふうに思っていた視聴者が大半だったのではないだろうか。浩太の最後の言葉はなんだったのか、それすらも瞬時に思い出せないほどに。

 浩太の最後は、愛娘である舞とのシーンとなった。本注文を前にリスクのある大量生産を行った結果、その全てを在庫として抱えることになり、さらに窮地に追い込まれてしまったIWAKURA。「いままでで一番しんどい」と舞にすらも本音を吐露する浩太だったが、それでも工場をなくすわけにはいかない、その気持ちは微塵も変わっていなかった。元は重工メーカーに勤め、飛行機を製作する夢を抱いていた浩太は、先代である父親の死を受けて、工場を継いだ。いまにも潰れてしまいそうな小さな工場は、IWAKURAとして一流企業へと成長した。浩太は言う、「岩倉で働いてきた全員で作り上げた工場なんや」と。工場にある記録も、機械も、職人も、全てが浩太の誇りであり、いつか飛行機の部品を作るという彼の夢へと飛び立つための翼。パイロットと工場を支える道とで揺れる舞は、いつまでも眩しい父の思いに「工場を支えたい」と心を動かされる。そんな娘に浩太は「自分の夢に向かって頑張るのが嬉しいねんで」「舞はパイロット目指して頑張ったらええね」と涙ぐむ舞の頭を撫でて、おもむろにその場を去っていく。これが父娘の最後のやり取りとなった。

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