『舞いあがれ!』福原遥は“強さ”をしっかり演じていた 後半に向けて振り返る舞の成長
放送開始から約3カ月となる『舞いあがれ!』(NHK総合)が、物語の折り返しを迎えようとしている。これは正式にアナウンスされているわけではないが、前期朝ドラの『ちむどんどん』(NHK総合)が全25週、その前の『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)が全23週だったことを考えると、今週から第13週となる『舞いあがれ!』は新たな物語が展開していることからも後半に突入していると見て間違いないだろう。
ここまでの放送を振り返った時に、時間の経過と成長を感じさせてくれるのがヒロインの舞(福原遥)だ。彼女は人の気持ちに敏感で、相手が今思っていることをすぐに察知する、心の繊細な人物。“子舞”こと浅田芭路がヒロインを演じた「幼少編」では、“ばんば”こと祥子(高畑淳子)が住む五島の自然や人々との交流を経て、自分の気持ちを伝えることのできる少女へと成長するとともに、ばらもん凧や紙飛行機を通じて空への興味や関心を大きくしていった。
舞が人力飛行機サークルのなにわバードマンに入部する大学生活をメインに描いた「人力飛行機編」からは、主演の福原遥が登場。幼少の頃の舞と比べると明るく、堂々としたようにも見えていたが、今もう一度観返してみると、入部勧誘を受け部室を初めて訪れるシーンでは新入生たちに混じって最後列から恐る恐る入室。人見知りや自信のなさが要所要所に表れていた。
井上真央がヒロインを務めた朝ドラ『おひさま』(NHK総合)を観て俳優になることを志したという福原。様々なインタビューで認めているように、福原自身もまた人見知りで自分の意見が言えない子供だった過去がある。それは今でも否めない部分もあるといい、だからこそ福原自身もこの『舞いあがれ!』を通じて舞と共に成長していると言っても過言ではない。『ちむどんどん』でヒロインを演じた黒島結菜が暢子に影響されて明るい性格になった(※1)ように、長期間にわたる日々の撮影はまるでどちらを生きているのかが分からなくなるほどに、その役が浸透していくと聞く。
言い換えれば、舞は福原に演じられる運命にあった役でもあるだろう。「成長して徐々に変化していく舞ちゃんの持つ“強さ”を大切にしたいと思いながら演じています」と福原がインタビューで語るその“強さ”が初めて演技へと表れていたのが、舞が人力飛行機にパイロットとして搭乗するシーン。(※2)発進前の「ペラ回します!」という掛け声には、福原本人も舞と同等のトレーニングを積み、由良を演じる吉谷彩子や刈谷を演じる高杉真宙との青春の中で、飛行機を飛ばすという緊張感があったこらこそ表現することのできたリアルな声であり、目に見える確かな強さだった。
福原遥、朝ドラヒロインとして届けたい思い 「たくさんの人を笑顔にできるように」
雄大な空の美しさと青さ、主演の福原遥の笑顔が印象的なメインビジュアルのイメージどおりに、視聴者は爽やかな感動を届けてくれている連…
柏木(目黒蓮)や大河内教官(吉川晃司)といったかけがえのない出会いを果たす「航空学校編」からは、いままで以上に表情豊かな舞が躍動していく。特筆すべきは舞には珍しく嫌悪感を抱いていた柏木に、気づかない間に恋愛感情を抱いていくことだ。好きということ、そしてこれからも一緒に空を飛びたいと互いの思いを通じ合わせた帯広のブルーサルビアが咲く公園での初デートは、初々しくもありながら、あまりにも自然で、幸せな2人のシーンが映し出されている。