『リラックマと遊園地』ドワーフ&Netflixが切り開いた新境地 コマ撮りが持つ偶発的な魅力
「偶発的に出た魅力が詰まっている」
――『リラックマとカオルさん』『リラックマと遊園地』と2シリーズやってきて、業界に変化は感じられましたか?
根岸:あったと思います。最初に『リラックマとカオルさん』をやった時は、日本のコマ撮りで長編というのが本当に珍しかったので、探り探り進めていました。なかなか映画やシリーズ化のハードルが高い中で、Netflixさんがこういう企画を可能にしてくれたのはとても大きいことだと思います。その後、『PUI PUI モルカー』の見里朝希さんとWIT STUDIOさんがタッグを組んだり、映像制作会社の太陽企画さんのアニメーションスタジオが活躍したり、若い方が活躍していける土台が日本でも出来上がってきたんじゃないかなと思います。
――新しい世代が作品を作りやすくなれば、日本のストップモーションアニメ界も活気づいていきそうですね。
根岸:活気づかせないとまずいですね。『リラックマと遊園地』のときは、10人のアニメーターが一堂に会して撮影をしていたんですけど、これは日本においてかなりレアなことなんですよ。
――国内のアニメーターさんはそんなに少ないんですか?
根岸:かなりニッチな職業ですね。
――ストップモーションアニメの魅力はずばりどこにあると思いますか?
根岸:やっぱり実在感とか、CGでは越えられないものがあるんじゃないかなと思っています。例えば、こっちが意図しなくてもお洋服にシワが出てしまったりするところに、CGにはない魅力というか、偶発的に出た魅力が詰まっているんじゃないかなと思います。
――自分でシワを入れていかなきゃいけないですもんね。
根岸:「ここのシワがかわいくない」と思ったら、針でポンポン膨らませたりして造形していくんです。だから、CGと似ているといえば似ていますね。1コマ、1コマ、綺麗な形を作って、それを繋げていくだけなので。
原田:『リラックマと遊園地』でいうと、カオルさん以外の人間キャラは顔のパーツをCGで作って、3Dプリンターで出力しているんです。だから、CGの良いところ、手作りの良いところというのが、だんだんフラットになっているんじゃないですかね。近づいていっているけど、お互いに良いところがあるんだと思います。
根岸:2D専門だったアニメーターさんがCGに興味を持ち始めたり、コマ撮りのアニメーターが3DCGもできるようになることも多いんですよ。だから、近い業界でお互い魅力があるものなのかなと思います。
■配信情報
Netflixシリーズ『リラックマと遊園地』
Netflixにて全世界独占配信中
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