『カーテンコール』カン・ハヌルの芝居がみんなを幸せにする? 白目を剥く迫真の演技も
しかし、本作は決してシリアスなムードが漂う物語ではない。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」と言ったのはチャップリンだが、わたしたち観客は、本作を遠くから“喜劇”として観る位置にいる。そして、カン・ハヌルが明るい魅力でジェホンを演じていることがそれに拍車をかけている。
カン・ハヌルは不思議な魅力と実力を兼ね備えた俳優だ。特に『ミセン―未生―』や『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』で演じてみせた陰気なダークサイドフェイスは見事だった。闇落ちした時に翳りを見せる表情、鬱屈し抑圧された苦悩の膿を見せる感情表現のセンスはずば抜けている。
一転して、『椿の花咲く頃』では明るく、正義感に溢れ、見る人に勇気を与える陽気なキャラクターを見事に演じてみせた。田舎の純朴な青年から、皇子の気高い気品まで体現し、画面の向こう側から乾いたお日様の下で乾かした洗濯物の匂いや、香しく格調高いお香の香りまで漂ってくる“香りまで演じる役者”、そんな俳優ではないだろうか。
カン・ハヌルが演じるジェホンは過去にトラウマを抱えているが、心優しい善良な青年として描かれている。ジェホンとグムスン一家の心温まる交流を見ていると、本物のムンソンが現れてもジェホンが懸け橋になってくれるのではないだろうかと思えてくる。ジェホンの“演劇”がムンソンを含めたグムスン一家の幸せに繋がってほしいと切に願っている。
■配信情報
『カーテンコール』(全16話)
Prime Videoにて配信中
出演:カン・ハヌル、ハ・ジウォン、コ・ドゥシム、クォン・サンウ、ソン・ドンイル
演出:ユン・サンホ
脚本:チョ・ソンゴル
(写真はKBS公式サイトより)