細川岳、トラウデン都仁など 『舞いあがれ!』スワン号に熱い思いを乗せる男たち

 NHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、舞(福原遥)は人力飛行機スワン号を飛ばすため、パイロットに志願した。「スワン号を飛ばしたい」という強い思いを抱くのは部員たちも同じだ。舞に合わせた機体の修正に力を注ぐ「なにわバードマン」の個性豊かな部員たちに注目する。

高杉真宙×吉谷彩子×足立英 『舞いあがれ!』“なにわバードマン”を支える3人のキーマン

NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、18歳になった舞(福原遥)は航空工学を学ぶため大学へ入学した。そこで舞は、人力飛行機を作…

ノリが良く、面倒見が良いプロペラ班の玉本淳(細川岳)

 玉本は陽気な人柄と溌剌とした笑顔が印象的な人物だ。面倒見が良い先輩でもあり、1回生がリブの型紙作りを手伝っていたとき、藤谷(山形匠)や日下部(森田大鼓)の横で彼らを優しく見守る様子が心に残る。

 人力飛行機を制作しているときの表情は真剣そのもの。別人のように集中している姿から、玉本の飛行機への情熱が伝わってくる。

 玉本を演じる細川は、部員たちの様子をよく見て、彼らの反応に応える形で演技をしているように見える。「ほな、俺やっとプロペラに戻れんな」など、その場の空気を柔らかく変える台詞回しが、代表の鶴田(足立英)とは違う形で部員たちをまとめる玉本の魅力を引き出している。

細川岳が『舞いあがれ!』で示す俳優としての誠実さ “実在感”へのこだわりが光る

映画ファンにはお馴染み、あの『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)の“佐々木”こと細川岳が、朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総…

特徴的な顔立ちが印象的なプロペラ班の西浦和重(永沼伊久也)

 鼻の下が伸びた顔だちや手のひらで眼鏡をかけ直す仕草など、西浦はひときわ個性的なキャラクターだ。しかし演じている永沼の徹底した役づくりのおかげで違和感を覚えることはない。永沼は表情や口調を著しく変化させることなく、西浦の感心するさまや興奮を伝えてくれる。

 永沼は2018年に放送された『まんぷく』(NHK総合)で「塩軍団」の1人・赤津を演じた。赤津は塩軍団内でケンカが起きても1人寝ているほどマイペースだったり、主人公・福子(安藤サクラ)の母・鈴(松坂慶子)にこき使われたりと、視聴者の間でも人気を博していたムードメーカー的存在だった。本作の西浦は赤津とは全く違う人物像だが、永沼は視聴者の心に西浦の存在感を強く刻むことだろう。

爽やかな佇まいだが熱量がある胴体班の佐伯功(トラウデン都仁)

 佐伯は、舞に「いつもいっちゃん最初に来て頑張ってんもんな」と声をかけたり、1回生を気にかける素振りを見せる爽やかな2回生だ。そんな佐伯だが、回を追うごとに人力飛行機づくりへの熱量の高さが見えてくる。舞のスケッチブックを見た佐伯の食いつきの良さや明るい声色、表情には飛行機への愛が強く感じられた。

 スワン号が墜落したとき、佐伯はやや強い口調で刈谷(高杉真宙)に原因を追及する。他にも2回生同士で言い争いになったり、頭を抱えたりと、佐伯の焦燥感が映し出される場面が度々あったが、それだけスワン号を飛ばしたい思いが強いのだと分かる。

オーバーオールがトレードマークな胴体班の渥美士郎(松尾鯉太郎)

 渥美は同じ胴体班の佐伯と仲が良いようで、第18回で飲み会を前に部員たちが盛り上がる中、渥美は佐伯の方を向くと、お互いに拳を突き合わせる動きを見せた。映し出されたのはほんの一瞬だが、同じ胴体班として飛行機作りに励む2人の仲がうかがえる。渥美が舞のスケッチブックを見たときの興奮も忘れられない。渥美はとても嬉しそうに「お〜岩倉こんなん知ってるんか!」と声を張り上げていた。

 そんな渥美は、人力飛行機を飛ばすためなら、3回生に物怖じすることなく、自分の意見をはっきり述べる。玉本に意見する場面では事がうまく進まないことへの苛立ちもあったかもしれないが、渥美自身の意志の強さが感じられる。

関連記事