『新・信長公記』信じる強さを持った永瀬廉 “和の心”を掲げる特進クラスは打倒家康へ

「人は城、人は石垣、人は堀……」

 風林火山の軍旗で有名な名武将・武田信玄(満島真之介)の名言が、令和の世に蘇る。

 立派な城があっても、そこに人が集まらなければ何の役にも立たない。信頼できる仲間こそが強固な守りとなり、情けは人の心をつなぐことができる。傍若無人な徳川家康(小澤征悦)とは、正反対な考え方だ。

 “強い”ことは、旗印戦で勝ち上がっていく上で、大きな武器になる。家康ほど、絶対的な力を持っている人物なら、その強さに惹かれて集ってくる仲間もいるだろう。彼の言葉に引き寄せられて、特進クラスの仲間を裏切った明智光秀(萩原利久)のように。

 しかし、武力や恐怖だけで人の心を支配しようとするのは、本当の団結だと言えるのだろうか。もしも、家康が最大のピンチに見舞われたとする。その時、自分の身を削ってでも、「助けたい」と思う人は、果たしているのだろうか。『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系)第6話は、“真の勝利”について考えさせる回となった。

 “和の心”を大事にする織田信長(永瀬廉)は、人の上に立とうとしない。仲間を信じて手を取り合い、心をひとつにして戦う道を選んだ。

 だが、今の銀杏高校は、旗印戦の真っ只中だ。つい最近も、特進クラスに裏切り者が潜んでいると騒がれたばかり。また、明智のように寝返る人が出てきてもおかしくない。そんな状況のなか、心から「仲間を信じる」なんて言ってもいいものか? とも思った。しかし、そう言い切れるところこそが、信長の強さなのかもしれない。

 おそらく、信長には揺るぎない自信がある。だから、家康のように強さをひけらかさないし、みんな横並びで進んでいくことも怖くない。“和の心”という絶対的な指針があるからこそ、彼の信念は揺らぐことがないのだろう。

 それに、仲間を心の底から信じられる強さは、誰もが手に入れられるものではない。信じることって、強さだと思う。「裏切られたら、どうしよう……」と臆病になってしまうのは、相手に軸を持っていかれているから。しっかりと自分軸を持っていたら、たとえ裏切られても揺るぐことはない。

 きっと信長なら、裏切った相手よりも、信じる相手を間違えた自分を責めるだろう。だから、一度裏切った明智にも、「貴様を信じよう。信じるだけだろ? 簡単なことだ」と言うことができた。自分が信じたいと思うものは、誰が何と言おうと信じる。過去に何があったって、関係ない。“今”の相手を見て、見極める。そういう器の大きさも、彼が大将として慕われる所以なのだろう。

 その一方、家康は怖くて怖くて仕方がないのだと思う。仲間に裏切られて、ボロボロになってしまうことが。周囲を支配下において、「ゴミ」として扱っているのも、臆病な性格からくるもの。そうしていれば、馬鹿バカを見なくてもすむ。最初から仲間なんて作らなければ、裏切られることなんてないのだから。

 それに、彼は気付いてしまっている。自分から強さを取ったら、誰からも見向きをされなくなることを。

 特進クラスの団結を壊そうとしているのも、羨ましさからくるもののような気がしている。「仲間なんてくだらない」「団結なんてくそくらえ」と彼が言うたび、「僕も仲間に入れてほしい」「寂しい」と心のなかで叫んでいるように見えた。

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