『六本木クラス』で再熱 パク・ソジュンを通して『梨泰院クラス』が伝える生きる力と勇気
「誰にも愛されたことがない」という次男のグンスは庶子であることから、“欲を出すな”、“分をわきまえろ”、“へつくろえ”「弱者が生き残る道は強者に寄生することだ」と言われて育つ。セロイに出会い、イソへの恋心から、セロイの敵となる行動を起こすが、実はデヒに似ているところが随分とあることがわかる。「弱肉強食」が一番好きな言葉だというデヒが最後にグンスによって、「食われてしまったんですよ」といわれるのは、因果応報を感じさせる言葉だ。グンウォンもグンスも、デヒが屋台を始めたころの思いのまま子育てをしていたなら、きっと違う人生があったのだろう。悲しい兄弟だが、まだ人生は続く、ふたりともまだ若い、これからの人生を自分のために生きてほしい。
セロイと父の関係に言及して締めくくりとしたい。セロイが事件を起こし、父のパク・ソンヨル(ソン・ヒョンジュ)と初めてお酒を交わした時のお酒の味のシーンは有名なので、ここでは違うシーンを取り上げたい。セロイが事故で意識のないときに、生死の境を彷徨っているのであろうシーンとして、演出で“橋”を使ったエモーショナルで印象的な部分だ。あの世とこの世を隔てる“橋”。橋を渡るソンヨルに、セロイが「どこへ行くの?」と問う。ソンヨルはしばらく何も言わずセロイの顔を見つめるのだが、その表情がずっとセロイを見守ってきたのだなということがわかる顔だ。そして、「二度と、苦い夜が来ないところだ」と答える。セロイは橋に足を踏み入れない。
■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』
Netflixにて独占配信中
(写真はJTBC公式サイトより)