甫木元空監督の長編第2作『はだかのゆめ』11月25日公開決定 キャストに青木柚、前野健太ら
甫木元空監督による長編映画第2作『はだかのゆめ』が11月25日に公開されることが決定し、あわせてティザービジュアルと特報映像が公開された。
本作は、若くして両親を亡くし、高知県で祖父と暮らす甫木元監督自身の現在が投影された物語。
四国山脈に隔たれた高知県。いまだダムのない暴れ川の異名を持つ四万十川。太平洋に流れ出るその川の流れとともに、老いた祖父と余命をそこで暮らす決意をした母と、それに寄り添う息子・ノロ。現世を憂うノロは、近づく母の死を受け入れられずに死者のように徘徊していた。そのノロを見守るように寄り添うおんちゃん。彼もまたこの世の者ではないのかもしれない。息子を思う母、母を思う息子がお互いの距離を測り直していく。
監督を務めた甫木元は、青山真治監督とプロデューサー・仙頭武則がプロデュースした映画『はるねこ』で、2016年に長編デビュー。現在は、バンド「Bialystocks」としても活動している。
Bialystocksは、『はるねこ』をきっかけに結成されたボーカル・ギターの甫木元と、キーボードの菊池剛からなる2人組バンドで、2021年に発表されたファーストアルバム『ビアリストックス』の収録曲「I Don’t Have a Pen」がNTTドコモのウェブCMソングに選出された。
2020年春、甫木元監督の大学時代からの恩師である青山監督が急逝。青山監督はかつて甫木元を「最後の映画作家」と評し、映画『はるねこ』のプレスシートに下記のコメントを寄せている。
「新しい才能などもう現れないし、新しい映画などもう必要ない。そもそも新しさという言葉にもはや価値を見いだせない。もちろん、それは失望から洩れる嘆息でしかなかった。だが「最後の映画」との出会いという夢をまだ諦められずにいたこともたしかだった。日本映画に現れた、甫木元空という『最後の映画作家』」
主演を務めたのは、映画『うみべの女の子』や『きれいのくに』(NHK総合)、『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の青木柚。さらに、俳優のみならず監督、小説家でもある唯野未歩子、シンガーソングライターで俳優としても活動している前野健太が共演に名を連ねた。
プロデュースは前作に続き仙頭が担当し、音響に『EUREKA ユリイカ』以降のほぼすべての青山監督作品を手がけてきた菊池信之が参加している。
公開されたティザービジュアルには、画家の竹崎和征と西村有によって共同制作されたペインティングが起用された。
また、特報映像では、高知県四万十川の風景を切り取りながら、青木演じる主人公・ノロと、唯野演じる母の台詞の一部と、Bialystocksの音楽を垣間見ることができる。
甫木元空(監督)コメント
音楽家であった母が弾くピアノにいつからか誘われるように歌を歌い、曲を作り始めたことが自分の表現の始まりです。
そんな母の故郷高知県で映画を製作するために、4年前に高知に移住し脚本を書いてきました。
母と祖父と過ごした4年間、それは母にとって闘病期間ではありましたが、食事をつくり、洗い物をして、洗濯物をする、できる事をしながら生きるという事について賢明に模索する期間でもありました。
本作の主人公同様いつも何事にも間に合わないノロマな自分は、最後まで自分の余命をしりながら賢明に生きる母をただただ最後まで見つめる事しかできませんでした。
終わりに背を向け永遠を求めてしまう「はだかのゆめ」の中を彷徨いながら、いま一度生きてる者と死んでる者の距離を測り直し見つめ直す。運動の軌跡と弔いの音楽を移ろいゆく季節と水の流れと共に、終わりに向かう話ではなく、物語がそこから始まるような映画になればと思い製作しました。
■公開情報
『はだかのゆめ』
11月25日(金)より、渋谷シネクイントほか全国順次公開
監督・脚本・編集:甫木元空
出演:青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元尊英
プロデューサー:仙頭武則、飯塚香織
撮影:米倉伸
照明:平谷里紗
現場録音:川上拓也
音響:菊池信之
助監督:滝野弘仁
音楽:Bialystocks
製作:ポニーキャニオン
配給:boid/VOICE OF GHOST
2022年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch/59分
(c)PONY CANYON
公式サイト:hadakanoyume.com