『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3週連続放送を楽しもう! 秀逸な小ネタの数々を紹介

 さて記念すべき第1作、ここに注意して観ると面白い小ネタなどを拾って行こう。1955年にタイムスリップしてきたマーティに、ドクが「1985年の大統領は誰だ?」と質問すると「ロナルド・レーガンだよ」と返答する場面がある。ドクは「レーガンだと? 俳優の?」とマーティの言ったことを信じない。マーティが1955年の街中を見渡すときに映る映画館の看板に赤文字で「CATTLE QUEEN OF MONTAN」と書かれているが、この映画こそ若きレーガンが出演している『バファロウ平原』の原題だ。ドクはおろか、当時の人々がレーガンが未来のアメリカ大統領だとは信じられないだろう。そして映画中盤で、いじめっ子ビフがスケボーに乗ったマーティを車で追いかけた挙句に肥料を積んだトラックに突っ込む。トラックの荷台には“ジョーンズ肥料店”と書かれているが、PART2、PART3にも登場するので、この名前は憶えておきましょう。

 最後は音楽にまつわる小ネタ。マーティが携帯型カセットプレイヤーを使って、若き父ジョージにハードロックを聴かせる場面がある。ここで映るカセットテープに“エドワード・ヴァン・ヘイレン”とペンで書かれており、確かに使われている楽曲はロックバンド、ヴァン・ヘイレンの「Out The Window」だが、バンド名をそのまま使用できなかった事情から、ギタリストのエドワードにのみ許諾を取ってこの名前を出している。

 それから映画後半のパーティ会場で、手を怪我したバンドマンの代打でステージに立つマーティがエレキギターで演奏した曲は、チャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」という曲。演奏前にマーティが「懐メロの……」と言いかけて「僕のいたところでは懐メロだった」と言い直すが、それもそのはず、「ジョニー・B.グッド」のシングル盤レコードが発売されたのが1958年。1985年の高校生マーティにとっては懐メロだが、1955年を生きている人たちには存在すらも知らない曲だ。

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は2021年6月に日本テレビ系で放送されたばかりで、1年後に再びフジテレビ系で流れることになる。何度観ても楽しく、観る度に新たな発見がある、そんな映画だから度々のテレビ放送に恵まれるのだろう。作品の面白さは時代を超えて永遠なれど、CGIを使ったデジタル合成がなかった1980年代の映画らしく、特殊効果にはオプチカル合成というアナログな技術を使っている。

 マーベルヒーロー作品などで目が肥えた現代の若者が本作を観ると、部分的に合成が拙いと感じるカットがあるだろう(なにしろ今度のフジテレビ系放送は高画質の新マスターなので、合成の浮き具合がより分かりやすい)。だがそれも1985年のハリウッド映画としては大変よく出来た技術だったというのを念頭に観ていただきたい。ちなみに脚本兼製作のボブ・ゲイルが言うには「この映画は特殊効果だらけだと思われがちだが、実際にそういう効果を用いた部分は33シーンしかない」とのこと。

■放送情報
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
フジテレビ系にて、7月2日(土)21:00~23:20放送 ※10分拡大
監督・脚本:ロバート・ゼメキス
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァー、 ウェンディ・ジョー・スパーバー
写真:アフロ(c) Universal/courtesy Everett Collection

関連記事