『ちむどんどん』井之脇海は暢子の良き理解者に? 朝ドラの“ライバル”たちと比較
前作の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)では、市川実日子演じる“ベリー”こと、一子が2代目ヒロイン・るい(深津絵里)の恋のライバルとして登場。彼女は思いを寄せる錠一郎(オダギリジョー)と親密になっていくるいを一方的に敵視していたが、最後はふたりの恋を後押しした。それだけではなく、一子は母親との決別により、心に暗い影を落とするいを生涯に渡って支える親友となったのだ。彼女は同作の中でも、思い入れの深いキャラクターとして視聴者の記憶に刻まれているのではないだろうか。
一方、るいの娘・ひなた(川栄李奈)と一時は恋人同士になった本郷奏多演じる文四郎も、最初は彼女のことをライバル視していた。ふたりには時代劇好きという共通点があり、互いを意識するあまり、徐々になくてはならない存在に。考えてみれば「ライバル」は「同志」とも言い換えることができ、つまりは好きなことや目指すものが同じ、ということだ。自然とその結びつきは強くなる。『おちょやん』(NHK総合)のヒロイン・千代(杉咲花)と一平(成田凌)も喜劇の世界に身を置く仲間、さらに夫婦関係を経て、ラストは苦楽を共にした人生の“同志”ともいえる関係に落ち着いた。
矢作が汚い手を使って暢子の成長を阻んだりせず、その腕前を素直に認めるのも料理人としての矜恃を持っているからだろう。フォンターナへの愛情があるからこそ、暢子の才能と実力を活かさない手はない、という思いも感じられる。料理が好き。美味しいものをお客様に届けたい。きっとその思いは矢作と暢子も同じ。二ツ橋という絶対的な司令塔が一時不在となり、普段から対立する暢子と矢作が正面からぶつかり合うことは予想できるが、結果的にその経験がふたりをより良い関係に導いてくれることを期待する。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK