『アルピニスト』クライマー、撮影期間中に失踪? スタッフ捜索中に単独登頂を成功

 7月8日公開のドキュメンタリー映画『アルピニスト』にメイン出演しているクライマーが撮影期間中に失踪していたエピソードが明かされた。

 世界的アルピニストのレジェンドたちからも一目置かれている命知らずの若きアルピニストがいた。彼の名はマーク・アンドレ・ルクレール。命綱無し、たった独り前人未到の挑戦ーー。世界でも有数の岩壁や氷壁、数々の断崖絶壁を、命綱もつけず、たった独りで登る無謀なフリーソロという登山スタイルを貫いた彼は、SNS社会に背を向けながらも、不可能とされていた数々の世界の山脈の難所に挑み、次々と新たな記録を打ち立てていく。だが、そんな偉業を成し遂げながらも、名声を求めない彼の性格から世間的な知名度はほぼ皆無だった。

 ルクレールがこだわる「フリーソロ」とは、身体を支えるロープ、安全装置などを使わずに山や絶壁を登るという、命知らずで無謀なクライミングスタイルのこと。命の危険と引き換えに、何ものからも解放され、究極の自由に満たされる。そんな命知らずで百戦錬磨のクライマーたちの中でも、ルクレールはひときわ捉えどころのない、異色の存在。さすらい人で世間の注目を好まず、カメラを同行させることもない生まれながらの“自由人”だ。ただ単純に、目の前にある絶壁をどうにか制覇したい。その純粋なチャレンジの世界に撮影クルーが入り込むのは容易ではなかったという。

 本作の監督を務めたピーター・モーティマーとニック・ローゼンは、これまで数多くの登山にまつわるドキュメンタリー映画を製作するなど、アウトドア・ドキュメンタリーの第一人者だが、彼らをもってしても、ルクレールの行動は予測不能だった。あるときは携帯もつながらず、何カ月も連絡がとれず、ヤキモキすることもあったが、監督の仲間のSNSにマークの姿を発見。どうやらカナダ周辺にいるらしい、ということで、近くに住む映画製作者仲間に捜索を依頼することも。

 主演クライマー失踪という前代未聞の事態に関係者があわてふためく中、カナダの1万3000フィート級(標高3945メートル)難攻不落といわれた、カナダのロブソン山のエンペラー・フェイスにおいて、初の単独登頂を成功させたというニュースが監督のもとに飛び込む。突然のことに驚いた撮影陣はルクレールに「なぜわれわれに内緒でこの歴史的快挙に挑んだのか?」と尋ねたところ、「誰かがいたら“単独”にはならないだろ?」という返答。ルクレールの驚くべきチャレンジの、一挙手一投足をとらえた映像が本作に収められているという。

■公開情報
『アルピニスト』
7月8日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督:ピーター・モーティマー、ニック・ローゼン
出演:マーク・アンドレ・ルクレール、ブレット・ハリントン、アレックス・オノルド
制作:レッドブルメディアハウス
配給:パルコ ユニバーサル映画
2021年/英語/アメリカ映画/G/93分/ビスタ/原題:The Alpinist
(c)2021 Red Bull Media House. All Rights Reserved.
公式サイト:https://alpinist-movie.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/eigaalpinist
公式Twitter:https://twitter.com/alpinist_movie

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