『ちむどんどん』黒島結菜に訪れたピンチ 宮沢氷魚と片岡鶴太郎からのヒントを掴めるか

 『ちむどんどん』(NHK総合)第43話では、イタリア風おでんで屋台の立て直しに挑む暢子(黒島結菜)にピンチが訪れる。あっという間に客足が遠のいてしまったのだ。暢子はその原因を見出せずにいる。

 第43話で、暢子は和彦(宮沢氷魚)や三郎(片岡鶴太郎)から解決の糸口を教えられるが、それをうまく掴むことができない。

 和彦と愛(飯豊まりえ)はイタリア風おでんの試作品を食べに来ている。おでんのタネに使う新しい材料を持ってきた智(前田公輝)と暢子のやりとりを見ていた和彦は、「そこまでやると完全におでんじゃなくなるような」と口にした。「普通のおでんじゃつまらない」と考える暢子に、和彦は、どんな人がどんな時にどんな味を求めているのかを説く。しかし暢子の頭は「新しくて個性的なおでんにする」ことでいっぱいで、和彦の意見に苛立ちを覚えてしまう。

 暢子と和彦の言い争いで、暢子は料理に口を出されたことに腹を立て「偉そうに言わないでほしい」と言う。いくら物腰穏やかな和彦といえども、その物言いにはカチンと来たのか「偉そうになんか言ってないだろ!」と強く言い返す。このとき、黒島は感情の昂りをはっきりと見せていたが、宮沢は暢子の感情の昂りにつられることなく、穏やかな口調のまま和彦の怒りを表現していた。それにより、子ども時代のおてんばな暢子(稲垣来泉)と和彦(田中奏生)のやりとりが思い浮かぶ。

 何事にも好奇心旺盛で、けれど少し向こう見ずな部分もある暢子と、子ども時代の賢秀(浅川大治)と智(宮下柚百)とは違った視点で物事を捉えていた和彦。成長した2人は東京で再会したが、その根幹は変わっていないのだと思わされる。

 父・史彦(戸次重幸)の思いを継ぎ、沖縄の人々の暮らしを書き留めようとしている和彦には、人々が食に求めているものが見えているようだが、暢子は今、大好きな料理「だけ」に集中してしまっている。和彦が伝えた「もっと地味で、新鮮味はなくても大切なことがきっとあるはず」という言葉は、暢子の耳に届かなかった。しかし物語の終わりに、三郎が与えた「入り口に戻るしかない」というヒントは、和彦の言葉を言い換えたものであり、今の暢子に必要なもの。房子(原田美枝子)の過去も少しずつ明らかになっていく中で、暢子が和彦や三郎が言った言葉の意味を理解し、原点に立ち返ることに期待したい。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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