アンバー・ハード、ジョニー・デップに賠償金を支払えない? 判決に対して上訴の構え

 ジョニー・デップが元妻アンバー・ハードに対して起こした名誉毀損訴訟の決着がつき、デップが勝訴した。ハードは1500万ドル(約20億円)の損害賠償命令を下されたが、その支払い能力に問題があるようだ。

 この裁判は、2018年2月にハードがWashington Postに寄稿した論説に、名前こそ出さなかったものの、「デップから暴力を受けていた」と示唆したことに端を発する。2019年3月にデップが名誉棄損を理由に、ハードに対して5,000万ドル(約65億円)の損害賠償を求めて提訴。この訴訟に対してハードは、デップを1億ドル(約130億円)で反訴していた。

 裁判でハ-ドは、1,000万ドル(約13億円)の損害賠償金と500万ドル(約6億5,000万円)の懲罰的損害賠償金の支払いを命じられたが、ペニー・アズカラート判事が州の法定上限額に従い、懲罰的賠償金の500万ドルを35万ドル(約4,500万円)へ減額。その結果、賠償額の合計は1,035万ドル(13億4,000万円)に。その額から、陪審団がハードの主張も一部認め、デップに支払いを命じた懲罰的損害賠償金200万ドル(約2億6,000万円)を差し引けば、賠償額は835万ドル(約11億円)となる。

 米Varietyによると、裁判でハードの弁護を務めたエレイン・ブレデホフトが米ニュース番組『TODAY』に出演し、その賠償金をハードが支払えるのか質問され、「いいえ、絶対に無理です」と答えていたとのこと。さらに弁護士は、ハードが判決に対して上訴する意思を固めているとも明かし、陪審員を非難。裁判の間、ハードがソーシャルメディアで受けた罵詈雑言のせいで陪審団の審議が揺れ、デップに有利に働いたとも主張し、「この法廷では、許されるべきでないことがいくつも許され、それが陪審員を混乱させたのです」ともコメントしている。また、評決が出た直後にハードが最初に発した言葉が、「同じ体験(家庭内暴力)をした女性たちに申し訳ない」だったとも明かしていた。

 裁判に敗訴したハードはSNSに声明を発表し、「この判決が他の女性にとって何を意味するのかと思うと、さらに失望の思いです。これは後退であり、声を上げた女性が公然と恥をかかされ、屈辱を受ける可能性があった時代へ逆戻りさせる結果です。女性に対する暴力は、深刻に受け止めるべきものだという考えを後退させるものです」と思いを綴っている。

 デップとの離婚騒動と一連の裁判の影響で、ハードは『アクアマン』(2018年)の続編となる『Aquaman and the Lost Kingdom(原題)』で、自身が演じるメラ役の出番を減らされたと主張。「映画に続投するために戦わなければなりませんでした」と証言していた。名誉棄損裁判に敗訴したことで、今後もハードが俳優のキャリアにおいて厳しい立場に立たされることが予想される。

参照

https://variety.com/2022/film/news/amber-heard-pay-johnny-depp-trial-1235283552/
https://deadline.com/2022/06/johnny-depp-amber-heard-trial-appeal-plans-1235037177/
https://www.latimes.com/entertainment-arts/tv/story/2022-06-02/amber-heard-johnny-depp-verdict-defamation-trial-appeal-bredehoft

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