“母親たちの物語”にサスペンス要素も 『グリーン・マザーズ・クラブ』が描いた大人の友情

 Netflixで配信中の韓国ドラマ『グリーン・マザーズ・クラブ』がクライマックスを迎えた。ママ友たちの関係を描いたドラマではあるが、それ以上に複雑に絡み合った関係にサスペンス要素も加わり、回を追うごとにファンを増やしていった。

 本作の大きなテーマだったのが、話のタイトルとしても議論されている「大人でも純粋に友達になれるのか」。

 主人公のウンピョ(イ・ヨウォン)が、教育熱心な地区に引っ越してきたことから物語は始まる。前半は、子供たちをいかに良い大学に行かせるか、母親たちがあくせくする様子を描いている。そこまでの基盤作りとして様々なコンクールに出場させたり、受験のためにテレビも禁止したりと、子供の能力に母親たちは全てを捧げていた。しかしながら、子供たちに大きなストレスがのしかかり、次第に壊れていってしまう、心の痛い描写も描かれた。

 後半は、幸せに見えた母親たちの本当の姿についてフォーカスされていた。ウンピョの同級生であるジナ(キム・ギュリ)が自ら身を投げたことから、明らかにされるママ友たちの新たな実態。チュニ(チュ・ジャヒョン)は、ギャンブルに溺れた夫の代わりに子供たちの学費を稼ぐため、薬の提供と投薬に手を染めていた。ヨンミ(チャン・ヘジン)の夫で映画監督のオ・ゴヌ(イム・スヒョン)は、ジナにストーカーのような行為をしていたことが判明し、さらにヨンミは子供たちにも虐待していたことを知る。それでも、名誉のために夫を守ったヨンミだったが、最終的にはあまりにも犯罪的な行為をしていたため、夫を見放した。

 ストーリー上、浮き彫りになってくるのは、過去から繋がる関係/大人になって育まれる新たな関係だ。ウンピョとジナは学生時代からの同級生であり、フランスへも一緒に留学した仲。しかし、ウンピョが付き合っていたルイ(ロイ)がジナに心を奪われてしまったことがきっかけで、二人の関係はギクシャクしたものになってしまった。大人になって偶然同じマンションに住むことで再会する。

 ジナは好意を持って再会を喜んだ。一方でウンピョは、恋人を奪われ、自分が持っていないものを全て持っていたジナに嫉妬をしていて、再会を避けたがっていた。学生時代から何年も経っているとはいえ、目の前で元彼と友人が夫婦として現れ、子供もいて、最上階に住んでいるという現実を目の当たりにして、ウンピョは堪え難く思っていたのだ。

 ジナが命を絶ってしまったことで、ウンピョは彼女の存在の大きさと新たな一面を知ることになる。ジナは母親が精神的に疾患があり、義母ともうまくいっていなかったことや、ルイがかつて愛したレア(キム・ギュリ)と瓜二つのジナを身代わりとして結婚したこと。薔薇色に見えていたジナの人生が明らかになり、ウンピョは自責の念に駆られるとともに、死後であっても彼女の名誉を守ろうと奮闘する。進展がないと思っていた古い関係が、昔の感覚を取り戻していった。

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