作品の核を担い続ける岡田健史 『死刑にいたる病』は現時点の集大成が見られるものに
ここで少しだけ、岡田の“これまで”を振り返ってみようと思う。2018年秋クールに放送されたドラマ『中学聖日記』(TBS系)での鮮烈なデビューから、彼のキャリアはまだ4年に満たない。デビュー作ながら主人公の相手役に抜擢され、鳴り物入りでエンタメ界に姿を現した岡田は、この走り出しに続くのに相応しい豊かな経験を積んできたといえるだろう。最新話が放送されるたびにSNSをにぎわせた『MIU404』(2020年/TBS系)ではメインキャラクターの一人に扮し、コロナ禍が到来したばかりの不安定な社会に活力を与えた。『いとしのニーナ』(2020年/フジテレビ系)など、テレビドラマでの主演も経験し、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年/NHK総合)での好演も記憶に新しいところだ。映画に関しては2020年に『弥生、三月 -君を愛した30年-』でスクリーンデビューを果たして以降、ラブストーリーにコメディ、サスペンス、ヒューマンドラマと、彼が挑んだ作品のジャンルは多岐にわたる。今作『死刑にいたる病』について“いくつものジャンルを内包している作品”だと先に述べたが、このような作品で主演を務めていることこそ、この4年弱で目まぐるしい飛躍を遂げてきた岡田の集大成だという証明だろう。
岡田はこれまでの出演作のいずれもで主要な人物を演じてきた。その彼が本作では作品の先頭に立ち、物語を牽引してみせている。それも、大先輩である阿部を相手取ってだ。これから彼は何を見せてくれるのだろうか。本作ではたしかに“受けの演技”に徹しているが、役の性質もあり、ときおり“攻めの演技”も垣間見える。岡田が全力で“攻め”に徹したとき、彼の新たなステージが始まるのだろう。
■公開情報
『死刑にいたる病』
全国公開中
出演:阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、宮崎優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真、中山美穂
監督:白石和彌
脚本:高田亮
原作:櫛木理宇『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫刊)
配給:クロックワークス
(c)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
公式サイト:siy-movie.com
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