『サマータイムレンダ』は繰り返し観たくなる SF設定が活かされたアニメ表現に注目

 「影」の設定・表現として重要なもののひとつとして「影」の本体は立体である人ではなく、平面である地面に落ちる影の方というものがある。この設定を元にして「影」の倒し方も明かされていく。その中でも「影」が本体である影を踏まれるのを嫌い、踏まれる場所を避けている描写が面白い。踏まれないように地面でうねうねと動く「影」の動きは、脅威であるはずの「影」に若干可愛げを感じることができる緩和的な要素だと感じる。

 主人公・慎平は時間をループしている。このタイムリープ要素によって「影」の謎が少しずつ紐解かれ、物語が展開していく。物事を「俯瞰的」に見ることができる慎平だからこそ考え、気づくことができる要素も多い。1周目では気づけなかったことに2周目で気づき、対応して「影」と戦っていく様子には好奇心がくすぐられるのだ。

 謎の美女として登場する南方ひづる(CV:日笠陽子)や、一見怖い印象を受ける根津銀次郎(CV:浦山迅)などとの関わりも周回ごとに変化していく。彼女たちの過去も謎を解くひとつの要素なのだろうかとワクワクする。

 ストーリーが進むに連れて、SF要素、サスペンス要素、さらにはアクション要素も楽しめるというのも本作にハマる一つのポイントだ。慎平たちがどのようにして「影」と戦っていくのか、今後「影」はどのように脅威を奮ってくるのか見逃せない。

 そもそも「夏の離島で起こるSFサスペンス」という舞台設定だけでも好奇心がくすぐられるのに、さらにいざ作品を見始めると一つひとつの細かい設定やアニメらしい表現にどんどん惹き込まれていく。

 細かい設定を深堀りすると安易にネタバレに繋がってしまうので、まずはアニメの第1話をぜひ観てほしい。TVアニメ『サマータイムレンダ』は一つの謎が紐解かれるたびに、そして新しい謎が出るたびに何度でも最初から観返したくなるような、今オススメしたい中毒性のある作品だ。

■放送情報
『サマータイムレンダ』
TOKYO MX・BS11にて、毎週木曜24:00~放送
関西テレビにて、毎週木曜26:55~放送
アニマックスにて、毎週土曜20:00〜放送
J:テレにて、毎週月曜25:00~放送
原作:田中靖規(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:渡辺 歩
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:松元美季
アニメーション制作:オー・エル・エム
制作:小学館集英社プロダクション
声の出演:花江夏樹、永瀬アンナ、白砂沙帆、日笠陽子、浦山迅、小野賢章、河瀬茉希、大塚明夫、玄田哲章、上田燿司、小西克幸
(c)田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

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