2022.04.15 20:06

障害者の社会的包摂を目指す財団が『エターナルズ』『ホークアイ』に賞を授与

文＝IZUHO

　障害のある人の、より多くの社会参加を提唱し、促進を目指して活動するルーダーマンファミリー財団（Ruderman Family Foundation）が、マーベル・スタジオ作品の『エターナルズ』（2021年）と『ホークアイ』（2021年）に、「Seal of Authentic Representation」を贈った。

　「Seal of Authentic Representation」とは、エンターテインメント業界における、障害のある人の受け入れ（社会的な一体性）と、真の表現を実践している映画やテレビ番組に対し、称賛するものとして贈られる。

　アベンジャーズに次ぐ新たなヒーローチームの物語を描いたマーベル映画『エターナルズ』では、マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）初となる聴覚障害のあるヒーロー、マッカリが登場する。マッカリ役を演じたのは、生まれつき聴覚障害のある俳優、ローレン・リドルフだ。

　本作を手がけたクロエ・ジャオ監督は、「マッカリは、心と知性に満ち溢れています。彼女は強くカリスマ性があり、ミステリアスかつお茶目な部分もあります。私たちのリアルなマッカリであるローレン・リドルフに出会えたことを大変光栄に思います。彼女は愛と信念をもってこのキャラクターに命を吹き込み、その過程で私たちに多くのことを教えてくれました。彼女とマーベル・スタジオが、大画面に真の表現を提唱していることを大変誇りに思い、『エターナルズ』が、＜Seal of Authentic Representation＞を受賞したことを嬉しく思います」とコメントしている。

　また、MCUのキャスティングを担当するサラ・フィンは、「ローレン・リドルフが『エターナルズ』のマッカリ役で、初の聴覚障害をもつヒーローを演じたことは、画期的で感激的なものでした。彼女はすでに、レベルの高いキャストに加わるのにふさわしいだけではなく、彼女の独特な精神、才能、カリスマ性で全体の調和を高めてくれました。この過程を通して彼女を知ることができ、彼女が多くの人にとってリアルなヒーローとなったことを知り、光栄に思います」と述べている。

　さらに、フィンの共同キャスティング・ディレクターであるアンナ・テニーは、「ローレン・リドルフをマッカリ役に起用したことは、素晴らしい選択であり、特に若い人たちにとって大きな意味をもつものとなりました。彼らには、聴覚障害があろうとなかろうと、どんな困難に直面しても、やろうと思えば何にでもなれる、できるということを示す、ロールモデルが必要なのです」「今後、（ますます）映画やテレビ番組で、障害のある俳優が活躍することを心から願っています」とコメントした。

　一方、『アベンジャーズ／エンドゲーム』（2019年）の後の世界を舞台に、“アベンジャーズを辞めたい男”ホークアイの物語を描いたマーベルドラマ『ホークアイ』では、聴覚障害をもつヒーロー、エコー／マヤ・ロペスが登場する。エコー役を演じたのは、生まれつき聴覚障害があり、義足をもつ切断者でもあるアラクア・コックス。

　コックスについてフィンは、「アラクア・コックスが演じるエコー／マヤ・ロペスは、聴覚障害のあるネイティブ・アメリカンのマーベル・ヒーローという原作キャラクターが元となっています。この役のキャスティングにあたり、私たちは聴覚障害のある人と、ネイティブ・アメリカンの両者の文化を称え、尊重したいと思いました。アラクア・コックスの演技には、この上ないほどの喜びを感じています。彼女は驚異的であるほど素晴らしく、映画とテレビにおける新しい文化の一部であり、真の表現は、それ自体が重要であるだけではなく、伝えたい物語や、物語を形づくる手段のためにとっても重要なことなのです」と語った。

　ルーダーマンファミリー財団のジェイ・ルーダーマン会長は、「私たちは、スタジオのキャスティング決定において、社会的な一体性と真の表現という重要な価値を実践していることを目の当たりにでき、嬉しく思います。キャスティング・ディレクターやそのほかの責任者が、このような決断をする度、あらゆる形の多様性と社会正義の希望の光として、可能性を最大限に発揮するための、業界の幅広い旅路が切り開かれていくのです」と述べている。

　なお、9度目となる今回のSeal of Authentic Representationでは、マーベル2作品のほか、『AND JUST LIKE THAT…／セックス・アンド・ザ・シティ新章』（2021年）、『Ordinary Joe（原題）』（2021年〜2022年）、『マーダーズ・イン・ビルディング』（2021年〜）が表彰された。