『DCU』裏切り者の正体と15年前の真相が明らかに 日曜劇場おなじみの“黒幕の法則”も

 『DCU』(TBS系)最終話は、爆発と人質救出のスリルに加えて、裏切り者の正体と15年前の真相が明かされる濃密な90分間となった。

 2週間後のG20サミットを前に準備を進める新名(阿部寛)たち。この機を狙って、成合(吉川晃司)が遠隔システムの完成設計図と鍵を奪いに来ると予想された。瀬能博士(西尾浩行)が残したデータは、鍵に彫られた暗号を入力することで完成する。一方、海上保安庁内に東都重工やブラックバタフライの内通者がいることが発覚。新名は上司の佐久間(佃典彦)と相談し、海保の地下の水深50メートルに位置するセーフルームにデータを保管する。しかし、新名たちの予想よりも早く成合は侵入し、建物内に爆弾を仕掛ける。爆弾の発見と解除に動くDCUのメンバー。その頃、一足早くセーフルームに到達した成合は、データを入手して、追ってきた瀬能(横浜流星)と佐久間を爆弾のある室内に閉じ込める。

 瀬能を助けようと懸命に走る新名。鍵と引換えに瀬能を救うように訴えるが、成合は「お前がテロリストの俺に渡すわけがない」と言って走り去る。15年前、少年だった瀬能は新名によって救われたが、今度はゴーストになった成合が瀬能を危機に陥れる。まるで自分が犠牲になった15年前の代償を払わせるように。一巻の終わりと思われたその時、佐久間の機転で瀬能はからくも危機を脱することができた。成合を手引きしたのは海保ナンバー2の早川(春風亭昇太)ではなく、佐久間だった。なんとなく怪しいとは思っていたが、自らセーフルームの鍵を落として、その隙に成合の潜入を許し、あやうく命を落としかけて寸前で脱出ハッチの暗証番号を思い出すという手の込んだ自作自演ぶりに、驚いた視聴者も多かっただろう。

 たしかに早川が黒幕だとすると、冒頭で内通者の正体がわかってしまうのは、あまりにあっけなさすぎる。反対に元凶とわかってからの後半で、佐久間は一気に物語の中心に躍り出た。本作には日曜劇場伝統の「黒幕の法則」も受け継がれていた。東都重工の楢原社長(福澤朗)と笠原(岡田浩暉)、成合の密談に顔を出したのが佐久間。日曜劇場の悪役は料亭にいる奴である。隠蔽体質で悪代官的な悪役の典型をわかりやすく示すため、パブリックイメージを転用した一例と言えよう。

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