武田梨奈が語る、現在の映画にはない80年代映画の魅力 「古いものほど新しいなと思う」

古いものほど新しいと感じる

ジャッキー・チェン『ポリス・ストーリー/REBORN』(c)2017 HEYI PICTURES CO., LTD., PERFECT VILLAGE ENTERTAINMENT HK LIMITED, DADI CENTURY (BEIJING) CO., LTD., MANGO ENTERTAINMENT, CHEERFUL LAND PICTURES CO., LTD., YOUKU PICTURES (HK) CO., LIMITED ALL RIGHTS RESERVED

――武田さんがアクションで影響を受けていると感じる作品はありますか?

武田:ジャッキー・チェンさんの映画は昔からよく観ていました。今のアクション映画はCGが発達した分、表現方法が多岐に渡りますが、当時は役者の身一つで見せている部分が多いのでかっこいいなと思います。特にジャッキー・チェンさんは同じアジア人という共通項もあって、小さい頃からとても影響を受けていますね。

――80年代に限らず、昔の日本映画を観ることはありますか?

武田:デビューしたての頃、出演した映画の助監督さんに勧められて、高峰秀子さんの作品を観ました。昭和の映画って女性が台所に立っている姿だったり、食卓を囲むシーンだったり、生活の中の細かな瞬間が捉えられていて、私もこういう暮らしの一部を演じられる役者さんになりたいと感銘を受けました。あとは、アクション映画に関して言うと、倉田保昭さんや千葉真一さん、志穂美悦子さんの作品はずっと観てきました。倉田さんをはじめとする諸先輩方が作り上げてきたアクション映画に対しては、強い憧れがありますね。

――志穂美さんや倉田さんは、70〜80年代のアクション業界を支えた功労者でもありますね。

武田:当時は、日本や中国の武道をテーマにした映画がたくさん作られた時代だったんです。でも、今日本でそういう作品はほとんどなくなってしまったので、寂しい気持ちがありますね。海外では、ジャッキー・チェンさんとウィル・スミスさんが『ベスト・キッド』をリメイクしたり、最近だとNetflixで『コブラ会』(2018年〜)というドラマが作られたり、香港でも新しく空手のドラマが作られていたりするので、日本でもまたそういうアクション映画を作っていきたいなという気持ちはあります。

『コブラ会』(c)Netflix

――それは俳優としてだけではなく、クリエイターとしても?

武田:そうですね。以前は私なんかが……と思っていたんですが、数年前に韓国で開催されたアジアのアクション映画の国際会議に日本代表として招待して頂いたことがあります。その時に各国の映画業界の方とアクション映画についてお話しできたことが、自信に繋がりました。千葉さんや倉田さんも主演をやりつつ、自らアイデアを出して映画を作り上げていった方たちなので、今後そういった企画にも参加出来たらいいなと思います。

――日本でも、ハリウッドのように80年代映画のリバイバルブームが起きるかもしれませんね。

武田:倉田さんと以前お話した時に、「僕たちが作ってきたアクション映画の時代が、また必ずやってくるから」と言っていただけたことがありました。私もそう信じて、今自分の内側に秘めているものを形にしていけたらいいなと思っています。

――武田さんが作る映画を楽しみにしています。

武田:ありがとうございます。今ってポジティブに考えれば、誰でも映画を撮れる時代だし、自己プロデュースするにしても、アピールをする場は80年代より遥かに多いと思います。ただ、その中でも私は古いものを大切にしていきたいですし、古いものほど新しいなと思うこともたくさんあるんです。例えば、『ベスト・キッド』の中に、主人公が砂浜で修行をするシーンがあるんですけど、私はいまだにそれを真似して、海岸に行っては父と空手の稽古をしているんです(笑)。だから、80年代の映画は私にとって娯楽でもあり、自分が役者をしていく上での教科書でもあるのかもしれません。そういうアナログなものが持つ力を吸収しながら、私自身も映画に携わっていければと思っています。

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