『カムカム』深津絵里の「サニーサイド」は上白石萌音を参考? “神回”の裏側を演出に聞く
ひなた(川栄李奈)と五十嵐(本郷奏多)の突然の別れが描かれた『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第89話を受けて、2人の傷にそっと寄り添う錠一郎(オダギリジョー)とるい(深津絵里)それぞれのやりとりが第90話では見事だった。
るいがひなたに対して久々の登場になる「On The Sunny Side Of The Street(サニーサイド)」を口ずさむシーンについて、撮影秘話を演出の松岡一史に聞いてみた。
「実は最初はもっと明るく歌ってもらう予定でした。殻に閉じこもりそうな娘をひなたの道に引きずり出すために、と思っていたのですが、深津さんと議論を重ねるうちに、ただ娘の近くに佇んで寄り添うだけで結果それが娘をひなたの道に導くという構図が現場で出来上がっていきました」
また編集などもなく実尺のまま使われているそうで、「歌の途中でるいの声が詰まっていたり、感極まっている部分があるのも実尺の中でだからこそ伝わるお芝居で、るいの人生が凝縮されているかのようだった」と振り返る。
様々なバージョンがある「On The Sunny Side Of The Street」をどんなメロディーライン、譜割で歌うかについても深津と話し合ったようで、「ルイ・アームストロングの原曲で、るいが安子(上白石萌音)と聴いてきたバージョンで歌ってもらうことにしました。るいが聴いてきたそのままをひなたに歌ってもらいたいという思いから、安子の子守唄を反芻しながら歌っていただきました」とコメントした。
続いて、錠一郎と五十嵐のシーンについては、「オダギリさんが温かく包み込んでくれて、本郷さんもそれに呼応されている現場だった」と振り返る。