『カムカムエヴリバディ』時を超えて伝わるあんこのおまじない 算太とるいの再会は?

 モモケンこと桃山剣之介(尾上菊之助)に呼び止められたひなた(川栄李奈)。モモケンはひなたに2代目を襲名した時のことを話しはじめる。

 
 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第84話は、時を超えて受け継がれる記憶と親子の絆が印象的な放送回となった。テレビ版の『棗黍之丞』シリーズで人気を博したモモケンは、ひそかに悩んでいた。銀幕のスターだった父の名前を汚していないか。先代の遺作『妖術七変化!隠れ里の決闘』で親子の間に確執を抱えたまま、父が築き上げた“モモケン”を自分が名乗ることへのためらい。そんな時、小学生のひなた(新津ちせ)に出会った。「侍になりたいです!」と目を輝かせるひなたに「志を失わなければきっとなれますよ」と励ましたのは第66話の出来事。モモケン本人にとって意外だったのは、その言葉が先代の口癖だったこと。自分でも気付かないうちに、2代目モモケンとして父の志を継いでいたのだ。

 前話で謎の振付師・サンタ黒須(濱田岳)が親子の難しさを語っていた。サンタが言うには「許しとるようで、許しとらん。許しとらんようで、許しとる」、それが父親なのだと。続けて、サンタはあんこのおまじないを口にする。「小豆の声を聴けえ」「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」。20年前にサンタから聞いた言葉が、回転焼きを食べた瞬間、モモケンの耳によみがえる。口いっぱいにあんこの甘さを味わいながら、モモケンは先代が自分を見守っていると感じた。父の思いを受け取り、いつか自分の『妖術七変化』を撮ろうと決心した。

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