新垣結衣、『鎌倉殿の13人』八重役で見せる今までにない“強さ” 物語の前半戦を牽引

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で主人公・北条義時(小栗旬)の初恋の人・八重を演じている新垣結衣。「好きな女優」「好感度ランキング」などでは必ず上位に名前が挙がり、彼女が出演したドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)、『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などは好評を博し、シリーズ化されるケースが目立つ。

 そして、意外にも思えるのだが、本作が大河ドラマ初出演であるということ。現代の、仕事や恋愛に悩む等身大の女性を演じて絶大な支持を得てきた彼女が、どんな女性を演じるのだろうか? 彼女本来の凛とした美しさは和装でも際立つのはもちろんだが、何よりも新鮮なのは物語を動かすほどの大胆さと何者にも動じない頑さを併せ持つ役柄であること。回を追うごとにその印象は強くなっている。

 ところで、頼朝(大泉洋)の妻として北条政子(小池栄子)は、日本三大悪女の一人とまでいわれ、その嫉妬深さ、尼将軍として頼朝亡き後は幕政の実権を握ったことで知られているが、頼朝の最初の妻とされる八重のことはほとんど知られていない。謎の多い人物で、『吾妻鏡』にはその記述がなく、『曽我物語』『源平闘諍録』といった軍記物語や伊東市に民話がそれぞれ残っているだけだ。伊豆の豪族・伊東祐親(浅野和之)の後妻の娘で、祐親が京都の大番役を終えて帰ってきたら、頼朝との間に千鶴丸が生まれ、激怒した祐親は千鶴丸を殺害。逃げ出した頼朝を北条家が匿ったことで、政子と頼朝が結婚した。八重は伊東家の家人・江間次郎(芹澤興人)に嫁ぐよう父に命令され、従う以外に道はなかった。

 謎の多い人物でミステリアス。義時から花を贈られても喜ぶどころか「摘んだ花は死んだ花じゃ」と、頼朝に会えないやるせない気持ちを隠そうともせず、強気でまっすぐな政子に対しても弱さを決して見せない。大声を出したり、相手を威嚇するような強さとは正反対の、芯の強さ、しなやかさゆえの折れない意志を八重の可憐な表情から読み取れるのだ。

 第5回「兄との約束」で八重は、夫の江間次郎(芹澤興人)が留守中一人でいるところに頼朝が現れると、「人に見られたら」と心配しつつ、「江間は伊東に行っています」と頼朝を積極的に部屋に招き入れてしまう。そこへ江間が帰宅したので頼朝はそそくさと帰ることになるのだが、八重が思いを断ち切っていないことは明白。

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