『DCU』中村アン演じる隆子が最後に下した決断 国際共同制作がこれまでにない展開を生む

※本稿は『DCU』第3話のネタバレを含みます。

 『DCU』(TBS系)第3話で描かれたのは水際の攻防。四方を海で囲まれた日本でDCUがカバーする職務の範囲は広い。そこには、水深100メートルの湖底から水平線の向こうの隣国との国境も含まれる。ニュースで見聞きするような領海侵犯や国境を超えたテロもDCUの任務となる。

 前回、隆子(中村アン)が目を離した隙に、ロドリゴ・サンチェス(フェルナンデス直行)が逃走。押収されたスマホもなくなっていた。さらに、サンチェス自身も別人であることが発覚。サンチェスの正体はジョアン・ロペスといい、国際テロ組織「ブラックバタフライ」の一員で、爆破事件を起こしてブラジルから不法出国していた。ブラックバタフライの狙いは、ロシアが仲介役を務める某国との接触。公安の清水(山崎育三郎)らも加わり、逃走犯を追って大がかりな捜索が開始される。

 そんな中、ロペスの病室にいたマリア・シルバ(エレナ・アレジ・後藤)が事件の重要参考人として浮上。取調べを志願する隆子だが、新名(阿部寛)は、冷静さを欠くことを理由に捜査から外れるよう命じる。「己の動揺を抑えられなければ、水の中ではパニック状態だ」と新名。しかし、隆子は命令を無視して単独行動に走る。同じ頃、ロペスが盗んだスマホが発見される。スマホ内のチップに記録された座標値から、テロリストの標的は海保施設と思われた。

 第3話の主役は隆子だった。笑顔を絶やさない隆子はDCUのムードメーカーで、思っていることが顔に出てしまうキャラ。明るく振る舞いながらも内心動揺しているのが、周囲にはわかりすぎるくらいわかってしまう。隆子を元気づけようと、瀬能(横浜流星)や隊員たちが差し入れ持参で手伝いにくる様子から、絆の強さが垣間見えた。それは、隆子自身が普段から瀬能や森田(岡崎体育)に目をかけ、世話を焼いてきたからだろう。新名が「俺たちの希望」と語ったように、孤独な水中から帰ってくる場所としてのDCUを象徴する存在が隆子で、その隆子が、自身のミスを挽回しようと懸命に努力するほど指揮系統から外れてしまう様子は、観ていて辛いものがあった。好物のコーヒーを前に見せた笑顔が、最後の挨拶になってしまうとは……。

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