リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2021年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、海外ドラマの場合は、2021年に日本で放送・配信された作品（シーズン2なども含む）の中から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクト。第7回の選者は、“インデペンデント演劇人”の長内那由多。（編集部）

1．『真夜中のミサ』（Netflix）
2．『地下鉄道 ～自由への旅路～』（Amazon Prime Video）
3．『僕らのままで／WE ARE WHO WE ARE』（スターチャンネル）
4．『メイドの手帖』（Netflix）
5．『メア・オブ・イーストタウン／ある殺人事件の真実』（U-NEXT）
6．『マスター・オブ・ゼロ』S3（Netflix）
7．『ある結婚の風景』（U-NEXT）
8．『カトラ』（Netflix）
9．『ゼム』（Amazon Prime Video）
10．『ロキ』以外のMCUドラマシリーズ（ディズニープラス）

　これだけ多くの作品を世界で同時に観ることのできる時代に、果たして『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』や『ウエスト・サイド・ストーリー』、そして『メディア王～華麗なる一族～』（＝a.k.a『サクセッション』）が入っていないベスト10なんて意味があるのだろうか？　現代のポップカルチャーとは劇場や自宅のみならず、ネットを通じて世界中の人々と熱狂することにあるのではないか？　そんなことを考えずにはいられない2021年暮れのここ日本である。洋画興行は寂しく、HBOの新作は一向に配信される気配がない。『サクセッション』不在の僕のリストを見渡すと、世界中の批評家同様、年間に作られているTVシリーズのほとんどに目が届くワケもなく、果たして新しい発見を報告できるのかと頭を抱えてしまう。

　今さら名を挙げることは無意味に思えて『イカゲーム』をリストから外し、代わりにアイスランド発のホラー『カトラ』を入れた。仕上がりは今一歩譲るものの、Netflixによるローカルコンテンツは未だ見ぬ発見があり、『イカゲーム』の世界的成功を受けて今後ますます企画開発が活発化していくことだろう。

　シーズン完走にかなりの根気と忍耐を必要とした『ゼム』は、『地下鉄道』や『真夜中のミサ』など他作品を読み解く上で非常に重要なヒントとなり、今年1年を振り返ると無視できない作品だった。