新キャラ多数? 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』予告編を解説

 その後は短いカットが続きます。まず唐突に1カット、不気味なカラスが入ります。これは本作がホラー映画になるよ、という暗示かもしれません。本作の監督はサム・ライミ! 『死霊のはらわた』『スパイダーマン』、そして傑作『ダークマン』とホラーとスーパーヒーローものの名手です。この映画に相応しい監督ですね!

 次に背中に星のある女性。これが本作の注目キャラの一人アメリカ・チャベス(ミス・アメリカと呼ばれることもある/ソーチー・ゴメス)。コミックの設定では別次元出身でスーパーパワー=怪力、飛行能力を持つ女性です。そして我らがウォンが大ピンチ! さらに、光の渦に巻き込まれるストレンジ(?)。多分別次元にとばされるというシーンではないかと(物理的な移動なら、あのオレンジのリング使うでしょうから)。

 その後、おなじみのマーベル・スタジオのロゴシーンですが、『ホワット・イフ…?』のオープニングのようなプリズムっぽい演出に。本作がマルチバースものであることを強調しているのでしょう。

『ワンダヴィジョン』(c)2021 Marvel

 51秒目からはワンダとの再会シーンが描かれます。ここでストレンジはワンダに協力を求めます。ちょっと安心したのが『ワンダヴィジョン』のあと、(確かに心の傷は大きいでしょうが)ワンダは落ち着いた場所で暮らしている様子であること。自分がしたことに向き合っていたことがわかります。僕は最初、この映画はワンダがヴィランとなってマルチバースを暴走・崩壊させ、それをストレンジが止める話と思っていました。しかしこの予告を見る限り、まず未曽有の危機にストレンジとワンダがチームを組むという流れですね。

 1分19秒目からは、まさに異次元のドアが開いて別次元へ。その一行はストレンジ、アメリカ・チャベス。そして向かって左にチラっと写っている女性。これはワンダかと思ったのですが、クリスティーンのようにも見えます。もし、クリスティーンだとすれば彼女はやはり本作の鍵を握る重要人物になるでしょう。

 1分26秒目にはついにモルド(キウェテル・イジョフォー)が登場します! 前作『ドクター・ストレンジ』に登場したストレンジの兄弟子でしたが、最後にヴィランになることを示唆して姿を消します。その彼が帰ってきました。前作と違い髪が伸びています。コミックでもこのキャラはストレンジのヴィランでした。

 1分32秒目には、ワンダがスカーレット・ウィッチとなって魔法陣の上で瞑想しているシーンが描かれています。今回の予告編の重要ポイントです。この魔法陣的なものは『ホワット・イフ…?』にも出てきました。また、この瞑想のポーズは、タイタン星でストレンジがサノス(ジョシュ・ブローリン)との戦いに勝つためのあらゆる可能性を探るときに似ています。果たして、ワンダはスカーレット・ウィッチとなって、なにを見つけ出そうとしているのか?

 1分35秒目にも注目してほしいポイントが。真ん中に、角のある牛頭っぽいマスクを被ったキャラがチラっと映ります。これは『ドクター・ストレンジ』のコミックに登場する、別次元にある惑星R'Vaalに住むリントラ(Rintrah)でしょうか? このキャラはギリシア神話の、牛頭の怪物ミノタウロスをモチーフにしています。この映画にあわせて発売されるアクションフィギュアにこの牛怪人が入っているようなので、間違いないですね。

 さらに、触手を持つ怪物も登場。これは『ホワット・イフ…?』にも登場した異次元の怪物で、シュマゴラスと呼ばれるキャラです。このキャラはカプコンさんのゲーム『マーヴル VS. カプコン 3 フェイト オブ トゥー ワールド』、いわゆる『マヴカプ3』のダウンロード・キャラで登場します(当時はマーベルではなくマーヴル表記)。僕はコミックでこのキャラの登場回を読んだことはないのですが、『マヴカプ3』のプロモーションのお手伝いをしていたので印象に残っています。

 ところが、ここ新たな謎が。実はこの映画をモチーフにしたLEGO(あのブロックのレゴです)さんのプレイセットが出ますが、そこでの商品の解説では、この触手の怪物は“ガルガントス”と表記されているのです(日本語のLEGO公式サイトでもそうなっています)。“ガルガントス”も一つ目のタコのような怪物。しかしコミックでは海の超人サブマリナーことネイモアと戦うキャラ。これは、もしかして近々MCUにネイモア登場の伏線? それにしてもLEGOからスクープを得ることが多いです(笑)。

 最後に、この映画の本当のヴィランが判明? なんと闇落ちしたストレンジが! 『ロキ』風に言えば、ストレンジのヴァリアント=変異体とも言えます。サム・ライミ監督は『スパイダーマン3』で、ピーターが闇落ちしたダーク・スーツ・スパイダーマンを登場させています。ヒーローの闇の部分を描くことも得意な監督なだけに、2人のストレンジの戦いに期待です。なお、ベネディクト・カンバーバッチは前作のヴィラン、ドルマムゥもモーションキャプチャーで演じていました。つまり前作もある意味“カンバーバッチvsカンバーバッチ”だったのです。今回は究極の“カンバーバッチvsカンバーバッチ”が楽しめそうです。

■公開情報
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
2022年5月、映画館にて公開
監督:サム・ライミ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2021

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