パク・シネ、チョン・ヨビン、チョン・ウンチェ アクションに注目の韓国女優たち

 寒さが身に染みるこの時期、甘いラブストーリーもいいが、スカッとするアクションドラマで熱い気持ちになりたい人もいるのではないだろうか。最近の韓国映画・ドラマでは、女優が激しいアクションシーンを演じることも少なくない。「この人はこんなにアクションができるのか」とそれまで持っていたイメージとの違いも楽しめる。そこで今回は、かっこいいアクションを見せている3人の女優にスポットを当ててみたい。

主人公を体当たりで守る、『シーシュポス:The Myth』のパク・シネ

『シーシュポス: The Myth』予告編 - Netflix

 2021年に俳優・チェ・テジュンと結婚、同時に母親になることを発表して話題となったパク・シネ。『天国の階段』(2003年)でチェ・ジウの子ども時代を演じて注目されて以来、『美男ですね』(2009年)、『相続者たち』(2013年)など話題作に出演し、魅力的なヒロインを演じてきた。

 そんな彼女の出演最新作『シーシュポス:The Myth』(2021年)では、チョ・スンウが演じる天才エンジニアのハン・テスルを守るため、未来からやってきたカン・ソヘを演じている。見事な射撃力、多くの敵を相手に見せる華麗な身のこなしは、これまでパク・シネが演じてきたヒロイン像とは違う魅力でいっぱいだ。

 核戦争で廃墟と化した未来の韓国から、2020年に住むハン・テスルを守るため、命の危険を顧みずにタイムスリップしてくるカン・ソヘ。なんとしてでも未来の韓国をめちゃくちゃにした敵からハン・テスルを救わなければ……という強い使命感を持っている。ソヘの戦闘能力は高レベルで、大柄な男性を素手で倒してしまい、狙撃や爆弾設置など、できないことはない。刑事である父親にサバイバル術を徹底的に鍛えられたのだ。それに対し、「守られる男」のチョ・スンウは、華奢な見た目とは相反して強くたくましいソヘに対し次第に全幅の信頼を寄せるようになっていく。

 命をかけてテスルを守るソヘには、確固たる信念があった。その固い決意に至るまでに、ソヘの身の上には悲しい出来事が起こり、過去を変えることで未来を変えたいと強い意志でタイムスリップしてきたのだ。2020年の韓国では、幸せだった幼い頃の自分と再会する。そんな時に見せる悲しげな表情には、強くてたくましいソヘの姿はない。父や母を想う、ごく普通の娘の姿をサラッと見せてしまうパク・シネに感服する。

 また、ソヘが持つ銃にちょっとおしゃれなデザインが施されていることや、テスルとの間に愛情が生まれ、時に甘えたり切ない表情を見せたりするなど、カッコよさだけでなくかわいらしい面も垣間見ることができるのが嬉しい。

『ヴィンチェンツォ』で注目のチョン・ヨビンが見せたガンアクション

 2017年に釜山国際映画祭で初公開された映画『罪深き少女』(2017年)で主演して以来、映画、ドラマで活躍しているチョン・ヨビン。Netflixで配信されている『ヴィンチェンツォ』(2021年)では、ソン・ジュンギが演じるイタリアマフィアの顧問弁護士・ヴィンチェンツォ・カサノと組む弁護士ホン・チャヨン役で出演。聡明で仕事ができる弁護士でありながらも破天荒で、思ったことをすぐに口にしてしまうチャヨンを表情豊かに演じた。毎回ビシッときめたスーツ姿を披露し、彼女が見せるファッションも見どころのひとつだったといえるだろう。

 そんなチョン・ヨビンが、見事なガンアクションを見せたのが、同じくNetflixで配信中の映画『楽園の夜』(2021年)だ。オム・テグが演じる暴力団組織の構成員テグが、敵対組織から逃れるために逃亡した済州島で知り合う女性・ジェヨンを演じている。

『楽園の夜』Netflixにて配信中

 暴力団組織と関わって生きてきた叔父の代わりに両親を殺されてしまった過去を持つジェヨン。重い病気を抱えていることもあり、化粧っ気がなく、地味な服装でたばこをくゆらす、自堕落な雰囲気のある女性だ。暴力団組織に銃を斡旋している叔父と二人暮らしをしている彼女のもとに身を寄せるテグに対し、いきなりため口で話し、不愛想な態度を取り続ける。暴力団を誰よりも憎んでいるジェヨンにとって、テグは許せない存在なのかもしれない。

 しかしそんな二人の間に、恋愛でもない友情でもない、言葉で言い表せない感情が生まれ、心を通わせるようになる。そんな穏やかな日々は束の間の出来事で、ジェヨンの叔父とテグは無残にも殺されてしまう。そうして迎える本作のラスト10分間は、チョン・ヨビンの独壇場だ。

 叔父とテグの最期を見たジェヨンは、銃を携え暴力団構成員が集まる飲食店へ一人乗り込む。総勢50人はいる構成員たちに向け、銃をぶっ放す。まさに「ぶっ放す」という表現がぴったりで、チョン・ヨビンの銃さばきがとにかく美しい。

 かつて射撃練習をしているジェヨンの腕にテグも舌を巻いていたが、まさにこの時も100発100中、構成員たちを「成敗」していく。そして叔父とテグを痛い目に合わせた張本人たちを虚ろな目で容赦なく撃ちのめす。彼女をそのような行動に駆り立てたのは怒りなのか、悲しみなのか、悔しさなのか……。ラストで見せる表情が何ともいえず心に突き刺さる。チョン・ヨビン、圧巻のガンアクションを堪能してほしい。

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