『ドクターX』積極的な姿勢が高視聴率の秘訣? コロナ禍もネタにする貪欲さ

 2年ぶりの第7シリーズとなった『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系、以下『ドクターX』)が最終回を迎える。これまでのシリーズと比べて視聴率低下が報じられることもあったが、視聴率はエンディングに向けて尻上がりに上昇中。ファンの満足度もおおむね高いように見える。

 度肝を抜かれたのは、第1話で新型コロナウイルスの話題をガッツリ取り入れてきたことだ。田口トモロヲによるナレーションはこのように語っている。

「2021年、百年に一度のパンデミックの嵐が吹き荒れ、世界中で医療崩壊が起きる中、日本の白い巨塔は火事場の馬鹿力を発揮し、しぶとく持ちこたえていた」

 大門未知子(米倉涼子)がPCR検査で陽性と診断されるショッキングなオープニングから始まり、登場人物がマスクを着用しているのは当たり前。「マイクロ飛沫」「エアロゾル」「リモート会議」「クラスター」「バブル方式」「不要不急」などの言葉が飛び交い、大学病院内では看護師たちが何カ月も帰宅できずに働き続けているという疲弊しきった状態。新キャラの蜂須賀内科部長(野村萬斎)が大学病院で力を持ったのもパンデミックが原因だった。

 このままのペースでコロナ禍での大門の活躍を描くのかと思いきや、第1話から第2話まで物語上の時間が一気に3カ月飛ぶという荒業を見せて、コロナ禍の描写はやや落ち着きを見せる。しかし、その後も現在の状況をベースに時事ネタが次々と投入されていった。

 コロナ禍の中、蛭間外科分院長(西田敏行)が銀座のクラブに「視察」と称して出かけるのは、緊急事態宣言下で銀座のクラブを「訪問」して自民党を離党した松本純元国家公安委員長(今年11月に復党)らのことを彷彿とさせるし、言っていることの調子はいいが、「言ってることがペラペラなんだよ!」と大門未知子に罵倒される榎本環境大臣(徳重聡)は小泉進次郎前大臣そっくりだった(個人の感想です)。

 時事ネタは『ドクターX』の得意技だ。2017年のシーズン5では、当時旋風を巻き起こしていた小池百合子東京都知事を彷彿とさせる女性院長・志村(大地真央)が登場したし、第4シリーズには舛添要一前東京都知事を思い起こさせるセコい国会議員(西岡徳馬)が登場した。第3シリーズでは原守(鈴木浩介)が、“号泣議員”こと野々村竜太郎元兵庫県議の記者会見のモノマネを披露してみせた。後で見返すと古く感じてしまいがちな時事ネタでも、恐れず貪欲に取り入れていくのが『ドクターX』の真骨頂である。

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