『半妖の夜叉姫』“所縁の断ち切り”を振るう姿が美しい　確かな成長を遂げたせつな

　裏切られた悲しみは憎しみに変わり、真昼間を覆い尽くす。五穀村は短期間で土地の恵を使い切り、あと数年で枯れ果ててしまうというのに、それでも魔夜中がこの村に執着するのは心から愛したお華との“縁”がまだ繋がっているからだ。ちなみに北の退治屋の一人、五郎は真昼間とお華の間に生まれた息子。彼こそがせつなを魔夜中の元に連れてきた張本人であるが、せつなが油断してしまったのは半妖と半神で何か似たものを感じたからだろう。

　他者を思いやる心を持ったとわに触発され、少しずつ感情を表し始めたせつな。魔夜中の置かれた境遇に憐れみを感じたとき、彼がお華と繋がっている縁の糸がはっきりと見える。所縁の断ち切りを振るうせつなは、糸だけではなく数十年積み重ねられた真昼間とお華の哀しみを偲ぶようだった。因縁から解放され、共に天へと旅立つ2人の姿を見つめるせつなの切ない表情が印象的。結局五穀村は貧しい村に戻り、退治屋は報酬を受け取ることができなかったが、せつなは確かな成長を遂げたはずだ。

■放送情報
『半妖の夜叉姫 弐の章』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜日17:30～放送
監督：菱田正和
シリーズ構成：隅沢克之
メインキャラクターデザイン：高橋留美子
アニメーションキャラクターデザイン：菱沼義仁
音楽：和田薫
アニメーション制作：サンライズ
製作：サンライズ、小学館、読売テレビ
(c)高橋留美子／小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
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