ハマり役続く永野芽郁 新たな代表作『そして、バトンは渡された』で磨いた武器
それに本作で永野は、“笑顔の複雑さ”を手に入れていると思う。私たちが日常生活において、「はい、笑って」といわれて簡単に笑うことができないように、意識すればするほど、笑顔というものは上手く作れない。しかし、俳優は笑顔を簡単に作ってしまう。笑顔の得意/不得意というものは、それこそ幼少期から過ごしてきた環境が大きく影響するのだろうが、俳優はこれを訓練によって習得し、自在に操ってみせるわけだ。そんな笑顔には、バリエーションやグラデーションがある。心の底から笑っているのか、うっかり笑ってしまったのか、無理をして笑っているのかーー森宮優子にはこれが的確に見て取れるのだ。永野は本作で、自身の武器をさらに磨くことができたのではないだろうか。
『キネマの神様』では名優・宮本信子の少女時代を好演した永野芽郁。これまでに彼女が主役級の役どころに配された作品の多くは、いずれもジャンル性が強いものであった。しかし、特定のジャンルに収まらない『そして、バトンは渡された』で主演を務め、成功に導いている事実は、彼女がまた一歩進んだ証でもあるだろう。
■公開情報
『そして、バトンは渡された』
全国公開中
出演:永野芽郁、田中圭、石原さとみ、岡田健史、稲垣来泉、朝比奈彩、安藤裕子、戸田菜穂、木野花、 大森南朋、市村正親
原作:瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(文春文庫刊)
監督:前田哲
脚本:橋本裕志
音楽:富貴晴美
インスパイアソング:SHE’S「Chained」(ユニバーサルミュージック)
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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