清原果耶は今までと違う朝ドラヒロインだった 『おかえりモネ』が描いた未来への希望

 百音は恋愛に限らず、すべてにおいて自分の感情を誰かにぶつけたり、好悪で何かを判断することなく、時には静かに涙を流しながらも正しい答えを模索するヒロインだ。震災のときに何もできなかった無力感に悩み、「誰かの役に立ちたい」と気象予報士になるが、同僚の莉子(今田美桜)に「人の役に立ちたいとかって、結局自分のためなんじゃん?」と言われると、さらに「人の役に立つとは?」と真面目に答えを探そうとする。

 役立つために気象予報士として出来る仕事を模索する百音の良き相談相手が菅波で、進んでいく未来に一緒にいたい相手として百音が選んだのが菅波なのだ。

 『おかえりモネ』の公式サイトにチーフ演出・一木正恵氏の「私の“人生をかけた一作” 『おかえりモネ』を振り返ってみました」というコラムが掲載されている。「『おかえりモネ』は主人公が15歳で東日本大震災にあってから、その後の10年をいかに生きたかを描く物語です。それはそのまま、この世代の方々にこそ、この物語を見てほしいという願いを込めています」とあるように、震災のときに島から離れていて何も出来なかったと罪悪感を抱いた百音が成長し、周囲の人たちの心の傷を癒し、未来へと希望を見出していく。

 水の循環によって海と山がつながっているように、百音が働きかけることによって人の痛みが癒され、それぞれの人がつながることは、やはり「きれいごと」では済まされない。感情に流されるのではなく、悩みながらも正しい方向へと導こうとするヒロインは特別な透明感を放ち、巧みな演技力を備えた清原果耶でなければ演じられなかっただろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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