ケイシー・アフレック、田村淳の子育て論に感激 「君はグレートファーザーだよ!」

 映画『Our Friend/アワー・フレンド』の公開記念イベントが10月12日に都内で行われ、ロンドンブーツ1号2号の田村淳が登壇。さらに主人公マットを演じたケイシー・アフレックがアメリカからリモート中継で参加した。

 本作は、2015年に『Esquire』誌に掲載され全米雑誌大賞を受賞したエッセーを映画化した人間ドラマ。2人の幼い娘を育てながら懸命に毎日を送っていたジャーナリストのマット(ケイシー・アフレック)と妻で舞台女優のニコル(ダコタ・ジョンソン)は、ある日突然告げられたニコルへの末期がんの宣告で生活が一変してしまう。妻の介護と子育てによる負担がマットに重くのしかかる中、過去に生きる希望を失いかけた時に2人から心を救われた親友デイン(ジェイソン・シーゲル)が一家を支えるためやってくる。2年にも及ぶ闘病生活。3人の想いと苦悩が交差する中で彼らが見つけた希望とは……。

 闘病を続けた母との別れを経験し、看取りや自身の死生観について綴った著書『母ちゃんのフラフープ』(ブックマン社刊)や遺書動画『ITAKOTO』など様々な形で“死”についてメッセージ発信している田村。「僕という人間が人との繋がりを描いた映画に呼ばれることがなかったんですが(笑)、映画を観て『なるほど』と。観ている間、ずっと感情を揺さぶられました。去年8月にガンで他界したかあちゃんのことを想いながら、死や別れについてだけじゃなくて、これからどう生きて行くべきなのか、改めて自分の生きる上で何を大切にするべきなのかを考えた」と振り返る。

田村淳

 自身が立ち上げたオンラインサロンのメンバーと一緒に、同時にオンライン試写を行ったという田村。「みんな感情を揺さぶられながら、どこで何を感じるのかは人それぞれ。違うポイントで響いているのが面白かった」と明かし、「僕自身も5度、6度、泣くタイミングがあって涙の種類も全部違いました」と感涙報告。実母は亡くなる前にやりたいことを記した「エンディングノート」を記していたそうで、田村ら家族は無理のない形でそれを実現させ ていったという。劇中にはアフレック演じるマットが妻ニコルのバケットリストをひとつずつ叶えようと奮闘するシーンがあり、「(経験した後で) リアルタイムだったので心に刺さった。もうかあちゃんのことは乗り越えられていると思っていたけど未だに泣けてしまうのは心からお別れができていないということだったのか。 そう思いながら、自分の中で昇華することができたと思う」と心境を打ち明けた。

 本作では家族や友人など様々な形の愛が描かれる。コンビ愛にかけて、相方・田村亮の存在について尋ねられると、「亮さんは、親友というよりも、仕事のパートナーであり、兄弟でもあり、親戚のおじさんのようでもある。大切な人ではあるけれど、どこにもカテゴライズできない」と特別な関係性であることを口にし、「彼は僕に向けての『ITAKOTO』も撮ってくれたんです。どんな内容かはわからないけど『俺が死んだ後に見てくれ』『短い言葉になった』とは言われました」と自分に向けての遺言があることも明かした。

 そして、本作の主人公であるジャーナリスト・マット役のアフレックが、米国からリモートで登場。画面越しでの対面となった田村が、アフレックの繊細な表情の変化、特に子供たちへ向けるまなざしについて印象的だったことを投げかけると、アフレックは自身も2人の子供を持つ父親として「(自身の)子供のことを思い浮かべながら、両親がいかに子供たちを愛しているか、その思いが彼らに伝わるものにしたかった」と話した。

田村淳とリモート中継で参加したケイシー・アフレック

 アフレックは「人生における喜びや幸せと同じように、苦しみも悲しみも受け入れて生きて行こうと努力をしている最中です。この映画は死を描いていますが、実は生きることへの祝福も描いているのです」とメッセージ。それに田村は「作品を通してその気持ちはしっかり伝わってきました」と応えた。

 2児の父親、同世代という共通点のあるアフレックと田村は、「子育てで大切にしていることなどはある?」と質問を投げかけられると、田村は「僕は娘に多くの選択肢を与えたいと思っています。たとえ娘が選択したものを途中で投げ出したとしても、別の道が見つかっているのであれば、それでいいと思う。一つの道を究めさせるというよりは、色々なものに触れて自分が進みたい思える道を見つけるきっかけを与えたい」回答。それに対しアフレックは「君はグレートファーザーだよ! 僕も淳さんの答えがいい(笑)」と会場を沸かしつつ、「この世に子供を連れてきたのは僕たちなんだから、僕らは何よりも彼らを優先しなければならない。子供にキスをするのは返してほしいからじゃなくて、その先の子供たちにどんどん繋げていくものだと思う」と温かく語り、良きパパぶりを発揮した。

 さらにアフレックが「13歳の次男は日本文化が大好きで、早く日本に行きたいと言っている。日本でキャンプをしたいんだよ。君にもし力があるならば、入国できるように取り図ってくれないか?」とハリウッドスターらしいジョークを飛ばすと、田村は「入国に関しては力を発揮することはできませんね! でもこの間キャンピングカーを納車したばかりでケイシーさんさえよければ僕が運転手をやります!(笑)」「僕はお城が好きなので、息子さんが嫌でなければお城も紹介することはできます。まず最初は犬山城ですね。息子さんは僕が責任を持ってお預かりします!」と猛アピール。これにアフレックも「完璧だ。日本に行ったらすぐに君に電話するよ!」と笑わせた。最後にアフレックは「僕にとってこの作品は、友情、愛、約束を果たすこと。とても美しいメッセージがつまった作品です。愛で乗り越えられないものはない、と感じてもらえたらうれしいです」とメッセージを寄せた。

■公開情報
『Our Friend/アワー・フレンド』
10月15日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
出演:ケイシー・アフレック、ダコタ・ジョンソン、ジェイソン・シーゲル、チェリー・ジョーンズ、グウェンドリン・クリスティー
監督:ガブリエラ・カウパースウェイト
脚本:ブラッド・イングルスビー
原作:マシュー・ティーグ『The Friend: Love Is Not a Big Enough Word』
配給:STAR CHANNEL MOVIES
2019年/米/英語/126分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:Our Friend/字幕翻訳:神田直美/G
(c)BBP Friend, LLC – 2020
公式サイト:https://our-friend-movie.com/

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