TBSが日曜劇場で大手制作会社とタッグ 阿部寛×横浜流星『DCU』で海外ドラマに対抗?

 日曜劇場が世界進出する。2022年1月からスタートする『DCU』(TBS系)は、水中捜査に特化した「Deep Crime Unit(潜水特殊捜査隊)」が舞台。四方を海域に囲まれた日本では、海や川、湖沼に遺体や証拠を遺棄・隠匿する事件が多く発生している。水中未解決事件を解明するために新設されたのが、精鋭スキューバダイバーで構成されるDCUだ。隊長の新名正義に阿部寛、新名とバディを組む瀬能陽生を横浜流星が演じるほか、追加キャストの発表で日ましに期待が高まっている。

 『DCU』がこれまでのTBS日曜劇場と違うのは、同作が海外との本格的な共同制作であること。TBSのほか、イスラエルのケシェット・メディア・グループのグローバル部門で、海外制作・配給を担うケシェット・インターナショナル(Keshet International: KI)と、カナダのテレビ番組制作・配給・出資会社であるファセット4メディア(Facet4 Media)が共同制作にあたる。『DCU』のコンセプトはKIとファセット4メディアが提供、知的財産権はファセット4メディアが保有し、撮影など実際の番組制作はTBSが行う分担だ。

 NetflixやAmazon Prime Videoが日本人キャストを起用したオリジナルコンテンツを次々と送り出す中で、海外のマーケットで受け入れられる作品づくりが国内ドラマの課題であることはたしかだ。今回、TBS日曜劇場が海外と共同制作をすることに対して、やはりという納得感と満を持してという感慨がある。現行の衛星放送やインターネットオリジナルを含む国内向けドラマのラインナップで、海外ドラマに対抗できる作品を送り出してきたのが日曜劇場だからだ。海外ドラマと国内ドラマの相違点として、物語のスケールやテンポ、娯楽性の高さが挙げられる。日本的な文脈で繊細な感情の機微を描くことが多い国内ドラマに対して、海外の作品は感情のうねりを骨太に描きながら、アクションを織り交ぜた視覚的なスペクタクルを展開する傾向がある。これらはエンタメの王道であり、同時に世界的なヒットを生み出す要因でもある。

 日曜劇場の諸作品には海外ドラマに通じる傾向が見られる。たとえば、直近で2021年7月期の『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)は、オペ室を兼ね備えたERカーや大規模なセットを使った撮影や災害現場に駆けつけて死者ゼロを達成する姿から「医療戦隊ヒーロー」ものとして話題となった。また、2020年7月期の『半沢直樹』(TBS系)は、2013年の前作以上に主演の堺雅人と香川照之たちの演技合戦がエスカレート。明快な勧善懲悪の構図は日本だけでなく中国や台湾でも評判になった。『TOKYO MER』と『半沢直樹』は、一度見始めると画面から目を離せないスピード感で普段ドラマを観ない層から支持された。海外原案による『DCU』が骨太でスケールの大きな作品になる可能性は高い。

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