シャン・チーだけじゃない! MCUフェーズ4から登場する8人の新ヒーローを徹底解説

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)25作目『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が、本国アメリカでも日本でも好評を博している。フェーズ1から3まで、アベンジャーズのメンバーを中心にその続編を丁寧にクロスオーバーさせてきたMCUだが、いよいよフェーズ4に突入し、新陳代謝が活発になってきた。シャン・チーをはじめ、フェーズ4から仲間入りするヒーローたちは非常に多様性に富んだキャラクターばかりだ。今回は、そんな8人の新ヒーローたちを、コミックでの活躍とともに紹介していこう。

“マスター・オブ・カンフー”、シャン・チー

 まずはすでに単独映画が公開され、世界中で人気を博しているシャン・チー。彼は1973年のコミック『Special Marvel Edition #15』で初登場した。当時のアメリカはブルース・リー企画のドラマ『燃えよ!カンフー』(1972年~1975年)が放送されるなど、カンフー・ブームの真っ只中。マーベルもその流行に乗った。“マスター・オブ・カンフー”とも呼ばれるシャン・チーは、映画で描かれたとおり特殊な能力を持たない普通の人間だが、優れた武術家で心優しい人物だ。コミックでの彼の物語は、やはり映画で描かれたとおり、悪の組織の親玉である父親に暗殺者として育てられたが、最初の任務で故郷を捨て、父の組織を壊滅させることを目的に戦うというもの。その後MI-6でスパイの訓練も受けている。同じ格闘家として、アイアン・フィストとどちらが強いか組み手をしてみたり、スパイダーマンや『デッドプール2』にも登場したドミノに稽古をつけたりと“素手で戦うヒーロー”として、その存在感を示してる。2012年から2013年にかけて発行されたシリーズ『Marvel Now!』では、18人の大所帯となったアベンジャーズにも参加した。

エターナルズのメンバー、イカリス

『エターナルズ』(c)Marvel Studios 2021

 11月5日に公開される『エターナルズ』からは、そのリーダー格であり、リチャード・マッデンが演じるイカリスを紹介しよう。1976年のコミック『Eternals #1』で初登場した彼は、2万年前に生まれた不死の宇宙種族エターナルズ最強の戦士の1人。『X-MEN:アポカリプス』(2016年)に登場した世界最古のミュータント、アポカリプスを倒したという戦績も残しているほどだ。エターナルズは神に近い宇宙種族セレスティアルズによって作られた。ちなみにセレスティアルズの1人には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)に登場した、ピーター・クイルの父エゴもいる。セレスティアルズは同時に悪の種族ディヴィアンツも生み出し、エターナルズは彼らから人類を守るために何万年も戦ってきた。イカリスの元々の名前は不明だが、彼には人間の女性との間に生まれた息子がいた。しかし、その息子が死んでしまったため彼は息子の名“イカリス”を名乗るようになる。その後、アイク・ハリスの名前で人間界で暮らすようになった彼は、冒険家のガイドとしてセレスティアルズの遺跡を探していた。イカリスは不死であるほかに、飛行やテレパシー、テレボーテーションなどの能力を持ち、コズミック・エネルギーを操作することで目からビームを放射したり、バリアを張ったりすることができる。古代ギリシャから現代に至るまで、彼はディヴィアンツ以外にもサノスやレッド・ハルクなどと戦い、人類を守ってきた。

2代目ホークアイ、ケイト・ビショップ

マーベル・スタジオ『ホークアイ』|予告編|Disney+(ディズニープラス)

 11月24日からDisney+(ディズニープラス)で配信が開始されるドラマ『ホークアイ』には、コミックで2代目ホークアイを襲名するケイト・ビショップが登場。すでに予告編が解禁された本作では、ヘイリー・スタインフェルド演じるケイトのキュートさにも注目が集まっている。ドラマでは、彼女はホークアイことクリント・バートンが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)と『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)の間に、暗殺者ローニンとして活動していたときの衣装を真似て、ビジランテとして活動しているようだ。そんなケイト・ビショップがコミックに初登場したのは、2005年に刊行された『Young Avengers #1』でのこと。ニューヨークの資産家の娘である彼女は、ヤング・アベンジャーズの活動中、たまたま現場に居合わせたため半ば強制的に仲間になった。独学で弓矢や剣術、格闘技を習得したケイトは、廃屋となっていたアベンジャーズ・マンションから、元祖ホークアイの弓矢を(勝手に)借りてヒーロー活動をはじめる。その後『Young Avengers』シリーズの最後で、ジェシカ・ジョーンズから弓矢を贈られ、キャプテン・アメリカから正式に2代目ホークアイに任命された。2006年から2007年にかけて刊行された『Civil War』シリーズでは、キャプテン・アメリカらとともに反登録法の側で戦っている。この間クリント・バートンは死んだとされていたが、のちに復活し、正式に彼女に「ホークアイ」の名と弓矢を譲った。またケイトはロサンゼルスに移住して、ウエストコースト・アベンジャーズのリーダーとしても活躍。探偵兼ヒーローとして活動している。

キャプテン・マーベルにあこがれるオタク少女、ミズ・マーベル

 2021年後半に配信が予定されているドラマ『ミズ・マーベル』の主人公カマラ・カーンは、マーベルで初めて個人誌を持ったムスリムのヒーローだ。2014年の『All-New Marvel NOW! Point One #1.NOW』で初登場したミズ・マーベルは、同年『Ms. Marvel Vol. 3 #1』で主人公として正式にデビューした。実は彼女はその前に、『Captain Marvel Vol. 7 #14』 (2013年)で一般人として登場している。そのときにキャロル・ダンバースの活躍を目撃し、彼女の大ファンになった。ニュージャージー州に住むパキスタン系アメリカ人のカマラ・カーンは、16歳の高校生。ヒーローもののゲームを愛するオタク少女だ。もともとクリー人によって作られた種族インヒューマンズの遺伝子を持っていた彼女は、クラスメイトへの対抗心から参加したパーティで、インヒューマンズの能力を目覚めさせるテリジェン・ミスト流出事故に巻き込まれ、能力を得た。その後、あこがれのキャプテン・マーベルの以前のヒーロー名「ミズ・マーベル」を(勝手に)名乗ってヒーロー活動をするようになる。カマラは体の巨大化/萎縮化といった変形能力や、服装を変えるなどの変身能力を持つ。2015年に彼女はついにアベンジャーズに加入したが、シビル・ウォーで大人のヒーローたちがいがみ合う姿に幻滅し、ほかの未成年ヒーローたちとチャンピオンズを結成。リーダーとして活躍している。MCUのカマラは、単独ドラマのほかに『キャプテン・マーベル』(2019年)の続編『ザ・マーベルズ(原題)』(2022年公開予定)にも登場するということなので、注目したい。

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