『鬼滅の刃』善逸&伊之助はなぜ視聴者の心掴むのか 下野紘と松岡禎丞の表現力
9月25日に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(フジテレビ系)が世界最速テレビ初放送されることから、現在、テレビアニメ『鬼滅の刃』で主人公・竈門炭治郎たちの物語の始まりから鬼殺隊として挑んできた任務の様子を描く「竈門炭治郎 立志編 特別編集版」が9月中の五夜にわたって放送中だ。
すでに第三夜まで放送を終えており、19日の「第四夜 那田蜘蛛山編」、23日の「第五夜 柱合会議・蝶屋敷編」、そして25日の「無限列車編」へと続いていく。
第三夜で放送された「鼓屋敷編」では、炭治郎と共に「鬼殺隊」で剣を振るう同期の我妻善逸と嘴平伊之助が大活躍。そこで本稿では、善逸と伊之助の魅力を改めて紹介。さらに、演じる声優の下野紘、松岡禎丞の『鬼滅の刃』で光る表現力についても語っていこう。
弱さを知っているからこそ強い、善逸は「やる時はやる男」
登場シーンが「少女にすがりついて泣きながら求婚している」という、一見……いや、よく見ても弱くて頼りなさそうな善逸。自身も「自分は弱い」と思っており、異常なまでにネガティブで臆病、任務にも消極的で「鬼が怖い」「死にたくない」とところかまわず泣きわめく姿からは、剣士らしさは1ミリも感じられない。
しかし、眠ること(恐怖で気絶すること)によって本来の能力を発揮。超高速の居合斬りの型「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」を放ち、屈強な鬼を瞬く間に真っ二つにしてしまう。そう、善逸は「やる時はやる男」なのだ。
そして、心優しさも持ち合わせる善逸。「鼓屋敷編」でビビりながらも子どもを鬼からかばったり、自身が立てない状態になった時に「先に逃げろ!」と躊躇なく犠牲になったり、通常モードと戦闘シーンとのギャップが魅力だ。
そんな善逸を演じるのは、下野紘。アニメデビュー作『ラーゼフォン』で主演を務め、その後、メインキャラを演じなかった年はないほど活躍する人気声優だ。『おおきく振りかぶって』の田島悠一郎、『進撃の巨人』のコニー・スプリンガーなど、「このキャラのおかげで場が和む」といった、緊迫のシーンに少しの笑いとホッとするアクセントを届けてくれる声が多くのアニメファンの心を掴んで離さない。
善逸役に下野が決まった時、おそらく多くのファンが2度ほど頷いただろう。それくらいしっくりきているキャスティング。劇中で善逸のセリフに(汚い高音)と補足が入るシーンがあるのだが、下野は見事に表現している。