『オールド』には日本映画の影響も アレックス・ウルフが語るシャマラン監督との共同作業

 M・ナイト・シャマラン監督最新作となるタイムスリラー『オールド』。バカンスを過ごすために訪れた美しいビーチで、“時間”が異常なスピードで加速し身体が老いていく不可解な現象に見舞われた家族の恐怖とサバイバルを描く。そんな本作の主要キャストの1人に抜擢されたのが、『ヘレディタリー/継承』や『ジュマンジ』シリーズのアレックス・ウルフだ。もともと大ファンだったというシャマラン監督との仕事や、日本映画からの影響について語ってもらった。

「僕はなぜかいろんな映画で酷い目に遭わせられることが多い」

ーーあなたはもともとシャマラン監督の大ファンだったそうですね。

アレックス・ウルフ(以下、ウルフ):おそらく多くの人と同じだと思いますが、シャマラン監督の作品との初めての出会いは『シックス・センス』(1999年)でした。子どもの頃に観たのですが、怖すぎて非情に辛い思いをしたのを覚えています(笑)。あの作品を観るにはまだ若すぎたんです。でもそれから僕は彼の大ファンになりました。なので、今回の『オールド』は僕にとってもターニングポイントになりました。長らく尊敬し続けてきた監督と一緒に仕事ができたことはもちろん、彼とすごく良い関係を作ることができたのも大きかったです。しかもこの映画には、僕自身が子供時代に抱えてきた秘密のようなものや、そういったものと向き合うようなセラピー的な効果がありました。その3つの意味で、この作品は僕にとってものすごく重要な作品になりました。あと、今回はシャツを脱ぎまくっていて、上半身裸でいることがほとんどです(笑)。これも昔だったら自信がなくてできなかったことかもしれません。

ーー『ヘレディタリー/継承』(2018年)に続いて大変な目に遭う役柄になりましたが……。

ウルフ:今回は顔にダメージは喰らいませんけどね(笑)。この2作に限らず、僕はなぜかいろんな映画で酷い目に遭わせられることが多いんです。自分でもなぜだかわかりませんが、そこも楽しんでいただけたら嬉しいです(笑)。

M・ナイト・シャマラン監督

ーー憧れのシャマラン監督は実際にどんな人でしたか?

ウルフ:シャマラン監督は本当に独特で、他にはいないような人。今まで仕事をしてきた監督と比べても、すごく正確無比で野心的です。常に準備万端なところもありますね。それでいて、繊細で実験的でもあって、そして勇敢でもある。そんな監督と一緒に仕事をできたことは、いろいろと目から鱗な体験でした。一人の人間としても役者としても、本当にたくさんのことを学びました。

――今回の『オールド』の内容について、どのような点に魅力を感じましたか?

ウルフ:僕は、自分が演じたトレントの“声”が新鮮に感じたんです。通常だったら、少年の心を持っているような描かれ方をしますが、本当に自分のような少年、青年の“声”をしっかり捉えていた。こういうキャラクターは多くの場合、早熟で知的なことを口にする、ちょっとかわいらしい造形になりがちだと多うけれど、トレントはそうではない。情熱的にいろんな感情がなだれ込んでいて、自由な魂を持っている。それに四苦八苦しながらも、怖いもの知らずなところもあるようなキャラクターとして描かれていたのが凄いなと思いました。そのような設定を掬い上げて、自分のパフォーマンスに変換していきました。

――トレントの子供時代、大人時代のキャストの方々との“そっくり具合”も印象的でした。

ウルフ:確かにそれはよく言われます(笑)。他のキャストとももちろん話をして、お互いのことを理解するところまでは行いましたが、それぞれのパフォーマンスをどう繋げるのかは監督の仕事だと僕は考えていたので、自分は脚本に書かれている自分のパートをしっかり大切に演じることに集中しました。他の人の模倣ではなくて、お互いにそういうアプローチをすることによって、より良いパフォーマンスができたんじゃないかなと思っています。

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