家族や自分自身と向き合う3姉妹の姿 アン・ホイ製作の香港映画『花椒の味』予告編公開

 11月5日に公開される『花椒(ホアジャオ)の味』の予告編と場面写真が公開された。

 本作は、香港、台北、重慶、別々の土地で育った3姉妹、サミー・チェン(サミー・チェン)、ルージー(メーガン・ライ)、ルーグオ(リー・シャオフォン)が、父の火鍋店を継ぎ、秘伝のスープを再現する過程を通して、家族の温かさを知り、家族や自分自身と向き合う3姉妹の物語。脚本・監督を務めたのは、『烈日当空(原題)』(監督)、『恋の紫煙』(脚本)のヘイワード・マック(麥曦茵)。香港電影金像奨を6度受賞し、第77回ヴェネチア国際映画祭で生涯功労賞の金獅子賞を受賞したアン・ホイ(許鞍華)が監督の才能に惚れ込み、プロデューサーを務めた。

 父親の死でお互いの存在を初めて知る3姉妹であったが、その後香港島大坑にある父が経営していた火鍋店「一家火鍋」の賃貸契約はまだ残っていることが発覚。解約すれば違約金が発生する上に、従業員もいる。ユーシューは、父の店を継ぐことを決心した。しかし、誰もレシピを知らないため、常連客の望む“父の麻辣鍋”のスープが作れない。客足が少しずつ遠のくなか、ルージー、ルーグオも駆けつけ、3姉妹でなんとか父秘伝の味を再現しようと奮闘する。

映画『花椒の味』予告編

 公開された予告編は、父亡き後継いだ火鍋屋の賑わう店内の様子から始まる。美術指導のチャン・シウホン(張兆康)が、二層式の構造、厨房のかまど等香港の火鍋店の雰囲気を完全に再現した店では、プロの料理人が映画のために作った本物の火鍋が撮影に使用された。父の火鍋を再現しようと奮闘する時、湯気で眼鏡が曇ったユーシューをルージーとルーグオが笑いながら助けたり、すでに3人には打ち解けた雰囲気が漂う。そして、父は誰を一番愛したのか、切ない思い出話が続く。その後、映像は3姉妹を支える周囲の人々との関係を描いていく。ユーシューとその元婚約者、心おきなく話せる友人の麻酔医。ルージーと、不安定な生活を心配する母親。ルーグオと、結婚しなさいと煩く言う祖母。大切な人と、まだ話し合える機会があることを映像は提示していく。

 火鍋店のある香港島大坑(タイハン)の伝統的なお祭り“舞火龍”での、父ハー・リョンの姿は郷愁を誘うシーンだ。人は死んだあと、魂が昆虫に乗り移ると、部屋に出たゴキブリをパパかもと笑い合う3姉妹。彼女たちは、助け合える温かい絆を得て、それぞれの問題に向き合い、人生を歩んでいく。

■公開情報
『花椒(ホアジャオ)の味』
11月5日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
出演:サミー・チェン、メーガン・ライ、リー・シャオフォン、リウ・ルイチー、ウー・イエンシュー
特別出演:リッチー・レン、ケニー・ビー
友情出演:アンディ・ラウ
プロデューサー:アン・ホイ、ジュリア・チュー
脚本・監督:ヘイワード・マック
音楽:波多野裕介
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
2019年/香港/広東語・北京語/118分/シネマスコープ/5.1ch/原題:花椒之味/英題:Fagara/日本語字幕:最上麻衣子/字幕協力:大阪アジアン映画祭/G
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