『おかえりモネ』菅波から耕治への「お父さん」が愛おしい 誰もが優しい永浦家の人々

 『おかえりモネ』(NHK総合)今週のタイトルは「離れられないもの」。第68話では百音(清原果耶)の“心”が離れられない故郷、気仙沼から耕治(内野聖陽)と龍己(藤竜也)が東京にやってきた。

 史上最大の勇気を振り絞って、菅波(坂口健太郎)が百音を“手当て”しようとした瞬間を目撃した耕治。久々の登場に嬉しいやら、「でも今じゃないよ~」と激しくツッコミを入れたいやら視聴者の心も複雑だ。当の本人は気まずさを払拭するかのようにおどけてみせるが、ちっとも目が笑っていない。そして今日に限ってスーツにサングラスという風貌で現れた龍己も、菅波を見るや否や事情を察した模様。軽快なBGMと、迫力満載の渋い男2人が並ぶ映像に乖離がありすぎて思わず笑ってしまう。

 龍己のカキが品評会で金賞を受賞し、授賞式に出席するため東京に出てきた2人。当然どちらも、まさか百音の恋人候補(?)と出くわすなんて思っていなかっただろう。龍己はすっかり菜津(マイコ)やその祖父母と打ち解けているが、耕治はずっと菅波の隣でむくれている。

 そりゃあ父親にとってみれば、娘が遠くでいつの間にか成長しているだけでも寂しいのに、良い感じの相手と並んでいる姿なんて見たら否が応でもその先の未来を想像してしまうはず。だけどちょっとした圧を送るだけで、3回食べて3回ともあたったカキを食した菅波を本気で心配する姿に誰からも好かれる耕治の人柄が表れている。無意識に耕治を「お父さん」と呼んでしまう菅波も、それを聞いて戸惑いを隠せない耕治と、「言ってない……」と変なフォローを入れてしまう百音も、不器用すぎる3人の姿をずっと見ていたい。そんな高揚する視聴者の気持ちを、今回もやはり仕事帰りの明日美(恒松祐里)が代弁してくれた。

 そんなプチハプニングの中に見えたのは意を決してトラウマのあるカキを食べたり、身体を気遣う百音に「あなたも」と微笑んだり、以前の菅波には見られなかった小さくて、だけど大きな変化。今の菅波の表情は柔らかくて、理屈では割り切れない百音の感情を100%理解できなくても、そっとその手を伸ばしたように「寄り添いたい」という気持ちが芽生えている。

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