『ナイト・ドクター』が描く医療現場の“働き方改革” 岸優太演じる深澤の成長の行方は?

 オリンピック開催のため2週にわたって放送がなく、実に3週間ぶりの放送となった月9ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)。これまでの5つのエピソードでは、あさひ海浜病院の救命救急センターで夜間に働く“ナイト・ドクター”5人のバックグラウンドにフォーカスを当てた物語がそれぞれに展開。年齢や経験もバラバラだった彼らが次第にチームとしての結束を高めていくさまが、全員同じ寮に住むようになるおまけ付きで描かれてきたのである。

 そして8月9日に放送された第6話。昼の時間にも別の病院で救急医として働き始めた美月(波瑠)は、疲労が蓄積した状態でドクターカーに乗り込み事故が起きた工場に向かう。しかしそこで作業員を助けようとして足場から転落してしまい、なんとか持ち直して処置を再開するものの、そのまま倒れ込み搬送される。美月に処置を任せきりにしてしまった自分の不甲斐なさを後悔する深澤(岸優太)。一方、昼の医師たちから監督不行き届きを責め立てられた本郷(沢村一樹)は、会長の桜庭(真矢ミキ)からも厳しい言葉を投げかけられることに。

 このドラマにおける物語の出発点であり、また最大の主題でもある「働き方改革」に触れた今回のエピソード。これは“後半戦”の幕開けというよりは、前半戦、ないしは第1章のフィナーレと呼べるものであろう。誰かのため・患者のために副業をこなし、怪我から復帰しても痛みに耐えながら変わらずバリバリと働こうとする向上心ブラックホールな美月に対して、自分自身のことを大事に思うよう強く言う深澤。その美月が、他のメンバーが空いた時間で新しい知識を得たり自己研鑽に励んでいることを知り、理想的な「働き方改革」とは何かというひとつの気付きを得るという流れだ。

 もっとも、余暇の時間を仕事に通じるものに充てるべきか否かは個人の自由ではあるが、そこは本郷が「どんな患者でも助ける医者になりたい」と言う美月に問いかける「そのためには何が必要か」という問いに帰結させるものであろう。1人がすべてを背負いこむのではなく、互いに頼って互いに頼られる理想的なチームプレイ。それを提示するためには、チキン(もしくはハムスター)である深澤の成長をはじめとした各々の進化プロセスというのは必然だ。以後のエピソードでは、個々人の成長のドラマから強固なチーム医療のドラマへと変化していくことになるのだろうか。

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